第5話 四代貴族

「おはよー、メリーちゃん」


「おはよう、マリーちゃん」


軽い挨拶と共に今日も一日が始まる。

今日は学園2日目、今日も楽しくなるといいな。

 そんなことを思いながら私は席に座る。

メリーちゃんと反対には昨日と同じく本を読んでいるクラメルがいた。


「おはようございます。クラメル様」


 私が挨拶をすると彼女はちらっとこちらをのぞいて会釈してくれた。どうやら話をかけられるとは思っていなかったらしく少し驚いているようにも見えた。

 私はそんな表情をみてまたモヤモヤする。朝はなかったのにやはり彼女を見ると何かが変になるのだ。


「マリーちゃん、大丈夫?」


「……あ、うん大丈夫だよ」


「本当?何かあったら言ってね」


 少しクラメルを見ながらボーとしてたらメリーちゃんが心配してきた。ただ見ているだけで心配されるのもおかしな話だが昨日の様子からクラメルはよっぽど怖がられているらしい。


「あっ、そうだメリーちゃんちょっと教えて欲しいことがあるんだけど」


「ん?何を教えて欲しいの?」


「四大貴族って何?」


「マリーちゃん!?それ、常識だよ!」


「いやー、私とあまり関係ないことは気にしなくてもいいかなって思って」


「マリーちゃんって思ったよりも抜けてるの?」


「うっ、言わないで……家族にも言われて気にしてるの、それ」


「はぁ…いいよメリーが教えてあげる。

四大貴族っていうのはこの国を支えている4つの貴族のことを言うの」


「4つの貴族?」


「うん、アレクトロ家、グラーム家、エレクトロ家、テンサンス家の4つだね。

 で、まずアレクトロ家なんだけどここは一番権力を持っている家で代々の国王の殆どがここから出ているの」

「ちなみに生徒会長はこの家出身なんだよ」


「グラーム家は商業の貴族で国家の経済をここが管理しているの。生徒会の会計さんはどうやらここ出身らしいよ」


「テンサンス家とエレクトロ家は共に騎士の家で国家の警備はこの二つの家がやってるの。」

「……ただ、エレクトロ家は素行が悪いらしくて、沢山の悪い噂があるの。」


 彼女は四大公家のことをそう説明した。エレクトロ家の説明をする時に露骨に嫌そうな怯えている顔をしていたため余程怖い噂があるようだ。


「それで、どうしてマリーちゃんは四大公家のことを知ろうと思ったの?」


「えーと、やっぱりこれは常識だと思って知っておこうかなと思っただけ」


「ふーん、ならいいけど……。私はてっきりクラメル様のことを知ろうとしているのかと」


「そ、そんなことないよー」


 彼女は私のことをジト目で見つめてくる。

ーはい、正解です。私、このモヤモヤの原因であろうクラメル様について知ってヒントにしようと思ってたんです。

 しかし、彼女にこれを正直にいうわけにはいかないので私はダンマリを決め込み誤魔化した。


「やっぱり……」


ーキーンコーンー


 そんな私を怪しみ彼女が確信をつく発言をしようとした時。丁度朝のチャイムが鳴りHRが始まった。

 メリーちゃんが思ったよりも察しがよく色々バレそうだったので正直内心焦っていた。なのでこのチャイムはすごいナイスタイミングだった。


***


今日の授業の1時間目は体育である。

 私は運動は得意な方で体育は好きな方である。ちなみに今日の体育はバレーである。


「はい、では皆さんそれぞれ5人チームを作ってください。」



「マリーちゃん一緒にやろう!」


「うん、いいよ」


「やったー。じゃあ、マリーちゃんあと3人誰にする?」


「うーん」


私は取り敢えずメリーちゃんと組んだ。そして周りを見渡して3人のところを探す。

 ちなみにクラメルはこの体育には出ていない。

 しばらく探してみるが空いているグループは一つもない。どうやら私が休んでいた1ヶ月の間に大体のグループができていてしまっていたらしい。

 メリーちゃんは前は色んなところに混ぜてもらっていたらしく、今回は頼りない。

 そのためグループが見つからず今日は先生とやる羽目になりそうかなと思っていると


「あら、貴方達あまりなのね。私たちも混ぜてもらえるかしら」


そんな私に金髪の令嬢が話しかけてきた。

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