第4話 一日の終わり
「またねーマリーちゃん」
「うん、またねー」
怒涛の1日だった今日ももう放課後。
授業は勉強の甲斐もあってついていけるが令嬢学校ともなるとそれ以外も勉強しなければならないだろう。
そんな不安もあるがいい友達もできて学校にも普通に馴染めたので一日目にしては良かったと思う。
「明日はもっといろんな人とお話ししたいなー」
私は明日に期待を膨らませながら帰路に着く
帰りの馬車はここから5分ぐらいの駐車場みたいなところに停まっている。
歩いている時私はクラメルのことを考えていた。何故彼女はあそこまで嫌われているのか。彼女の顔を初めて見た時から私は何故か彼女のことが気になっていた。
惚れたのかと言われると若干あるのかもしれないがそれだけではない。何故か彼女のことが頭の隅に残りずっと気になり続けるのだ。
「…なんなんだろうな、この気持ち」
私はどうしてもこの気持ちの理由がわからなかった。そんなことを考えるうちに私は迎えの馬車に到着していた。
「マリー様、おかえりなさいませ。」
可愛らしい表情で私のことを迎えてきてくれたのは私の専属メイドのルイちゃんである。私が10歳の時に6歳でメイドになった子で茶髪のセミロングで犬みたいな癖毛が特徴の現在12歳の少女である。
私にとっては妹みたいな存在でとても可愛がっている。
「ただいまルイちゃん。お迎えありがとうね」
「う…もう、マリー様。頭撫でないでくださいよ。もう私子供じゃ貸さないんですから」
そう言って恥ずかしそうにしているが頭を撫でるのを嫌がる素振りはない。
うん、可愛い。
「もう行きますよ!マリー様。……まったくもう!」
「はいはい」
****
うちまではこの馬車を使って20分ぐらいのところにある。歩くには少し遠く、馬車で行くには少し近いといった絶妙な距離である。
「マリー様、学校生活はどうでしたか?」
「楽しかったよ。友達もできたし、一日目にしては上出来だったと思う。」
「良かったですねマリー様」
「あ、でも一つだけ気になることがあるの」
「なんですか?」
「うちのクラスにとても嫌われている子がいるんだけど、確かにその子は人との関わりを避けているけどそれでも過剰なほど避けられていて、きっと放っておけばいいと思うんだけど何故かモヤモヤするの。これってなんなのかな?」
「なるほど…。それなら私から言えることは一つだけですね。マリー様がしたいようにすべきだと思います。」
「あの、それがわからないから聞いているんだけど」
「いえ、マリー様はとっくに気づいていると思いますよ。」
その後、結局私は答えをもらえないまま家に着いた。まぁ、ウジウジ考えていても仕方がないので私は気持ちを切り替えて家でリラックスすることにした。
「お帰りなさいマリーちゃん、ルイちゃん」
「「ただいまお母様」」
私たちのことをで迎えてくれたのは母のメル・グランヒルだ。今年で44歳になるのだが周りからは20代に見られるくらいの若さと美貌を維持している。こんな美人をよくうちの父は手に入れたなと思う。
「おっ、2人とも帰ってきたのか。お帰り。」
奥の方から私達を出迎えてくれたのは父のユーリ・グランヒルである。穏やかな顔をしていて領民からの人気も高い。
……ただ怒るととても怖い。
「2人ともご飯できているわよ」
「「はーい」」
****
「はー、美味しかった。ごちそうさまでした。
じゃあ私、風呂入ったら部屋で勉強してくるから。」
「わかったわ。頑張ってね。」
「頑張ってください。マリー様。あとでお茶出します。」
「おう、頑張れよ我が娘。」
「ありがとう」
こう言った日常会話でも私は愛されていることを認識できる。本当に良い家族に恵まれたと思う。
私は夜のルーティーンを済ませ布団に入る
「はぁー、今日も疲れた。でも楽しかったな」
そう言いながら私は意識を暗闇に落とす。
…きっと明日もいい日になると信じて……
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