第6話 金髪の令嬢たち

私に話しかけてきたのは金髪の令嬢だった。顔はとても美しくスタイルがとてもいい。体は鍛えているのか少し筋肉質だった。

彼女からは他の人とは違う雰囲気を感じる

 そして彼女の隣には2人、少女がいる。見た感じおそらく彼女の付き添いだと思われる。


「あのーどちら様で?」


「あら、私としたことがうっかりとしていましたわ」

「おっほん…改めましてごきげんよう、マリー・グランヒルさん、そしてメリー・マーガレットさん。四大貴族テンサンス家のサルネ・テンサンスですわ。以後お見知り置きを」


「????」


ん?今四大貴族と聞こえたぞ?あれ?気のせいかな。え?


「さ、さ、サルネ様!?どどど、どうして?」


 あまりに衝撃なことを言われた私たちはものすごい動揺をしていた。私は言葉を理解できず固まり、メリーちゃんに関しても、ものすごい動揺を見せガタガタしている。

 …だってそうだろう、いくら人が足りないとはいえ四大貴族レベルの人ならいくらでも組んでくれるだろうしわざわざ私たちのところに来る理由がない。


「あら…?ねぇ、マオどうしてこの子達は固まってるのかしら?」


 そう言ってサルネは隣にいる紺色の髪の少女に話しかける。


「お嬢様、それはあなたが四大貴族でありながら訳も話さず彼女たちに近づいたからです」


「ええ?それ私何か悪いかしら?」


「お嬢様……あなたはもう少し自分の立場を理解された方がいいです」

「マリー様、メリー様申し訳ありません。急にきて驚かせてしまって」


「………あ、ああ、いえいえこちらこそすみません。急に固まってしまって」


 私は話しかけられたおかげでなんとか意識を取り戻した私は、そう返したあと深く深呼吸をする。2回ほどしたところで私はようやく冷静さを取り戻した。


「ふぅ…落ち着きました。すみません、ありがとうございます。えっと……」


「失礼、申し遅れました。どうも、サルネ様専属メイドのマオ・メイエルです。以後お見知り置きを」


 そう言って彼女は頭を下げる。サルネ様とマリーさんは主従関係にあるらしい。


「……あっ!すみません。私マリーです。

よろしくお願いします」

「……ほらメリーちゃんも。(小声)」


「……」


「……メリーちゃん?」


ードサッー


 私がお辞儀をして挨拶をしたあとメリーちゃんにも挨拶を促そうと彼女を見た瞬間、あまりにびっくりしていたのか、メリーちゃんは気絶し倒れてしまった。


「メリーちゃん!?だっ、大丈夫?」


***


「おーいメリーちゃんしっかりして、メリーちゃん」


「うぅん…あれ、私何してたっけ?確かサルネ様にあった夢を見た気が…って、本物!?」


「落ち着いて、メリーちゃん。落ち着いて、ほら深呼吸」


「すぅー、はぁー。…うん、落ち着いた。ありがとうマリーちゃん」


 メリーちゃんに深呼吸を促してようやく彼女は落ち着きを取り戻す。それを見て私は取り敢えず一安心した。


「ふふ、良い友人関係ですのね」


「えぇ、素晴らしい関係だと思います」


 彼女たちはそんな私たちを見てそう感想を言う。そんな彼女たちも息ぴったりで良い関係だなとも思う。


「……あのー、そろそ自分も混ぜてくれませんかね?」


 そう言ってマイさんの背中から出てきたのは小柄な少女だった。髪は朱色のショートで顔はとても可愛らしく子供のように見える。しかし、この場にいると言うことは同年代だろうか?


「あら、ごめんなさい。すっかり忘れていたわ」


「ひどいですよ〜サルネ様。自分だってサルネ様の付き添い人なんですよ〜」


「……あのー、どちら様で?」


「あっ、これはこれは失礼しました。自分はハナ・カラトルであります。一応サルネ様の護衛をやっております。以後お見知り置きを」


 そう言って彼女はピシッと敬礼をする。美しい敬礼なのだが身長のせいでどうしても子供がやっているように見えてしまう。


「ふふ、ハナ。あなた子供みたいだと思われていますよ。」


 そうやってマオさんはハナさんを揶揄うように言う。するとハナさんは顔を真っ赤にした。


「な、なにをいうんですか!自分はちゃんと16歳ですよ!子供じゃありません!!それに今は少し小さいかもしれませんがいずれ私は立派な大人のおねぇさんになるんです!」


「ぷっ、大人のおねぇさんて……ぷぷっ」


「わ、笑うなー!」


 顔を真っ赤にして頬を膨らませながらハナちゃんはマオさんの体をポコポコ叩く。その様子は仲の良い姉妹のようにも見える。

そんな様子を見てると私やメリーちゃんも微笑ましくなり釣られて笑ってしまう。

 ハナちゃんはそんな私たちを見てさらに膨れ顔になり涙目になるのであった。

 

****


「おっほん…そろそろいいかしら。」


「あっ、すみません。お嬢様、少し騒ぎすぎました。」

「すみません、サルネ様、私も少しムキになりすぎました」


 賑やかな会話がしばらく続いたあとサルネ様がそう言って会話に取り敢えず一区切りをつける。2人は騒ぎすぎた自覚があるのか少ししゅんとしてしまった。


「それではマリーさん。自己紹介も終わったことだし、そろそろチームを組んでいただけるかしら」


「あー、それなんですけどチームを組む前に1つ聞きたいことがあって」


「あら、何かしら?」


「どうして私達と組もうと思ったのですか?

少し言い方が悪いかもですが四大貴族ともあろう方なら誰とでも呼べば組めると思うんです。それに記憶の限りではサルネ様との接点もないと思いますし…」


 私は素直に理由を話した。ここまでの話からサルネ様たちはいい人で優しい人ということが伝わってきた。

 しかし、性格が分かったとしても理由がわからなければ正直受けるのは怖い。

 彼女らとは正真正銘住む世界が違うのだ。

このくらいの警戒をしないと足元を掬われる可能性もある。…かつての私がそうだったように。


「あら、それは簡単なことよ。ただ単純にあなたたちに興味が湧いただけですわ」


 そんな私の警戒は裏腹にサルネ様は普通に理由を話した。それは''興味"だという。

 四大貴族レベルになれば興味で動くというのも違和感はない。

 しかし、その理由を聞いても私は納得できなかった。

 何故なら彼女が私に興味を持つ理由がないからだ。私が気を引く要素といえば転校生という点ぐらいだがそもそもうちの学校は優秀な生徒をたくさん取り込もうとするため年に10人ぐらいは普通に転校してくる。

 そのためそれをいちいち気にするわけがないのだ。

 なので私はさらに理由を求めるために聞き返すことにする。


「興味ですか、」


「えぇ、あのクラスの嫌われ者であるクラメルに恐れず話しかけたり子がどんな子か知りたいと思っただけよ」


 私が理由を聞くとまた普通に答えてくれた。こういうところで普通に教えてくれるのは彼女が誠実だからだろう。

 私としても理由に納得する。やはりクラメンは何かと注目を引く存在のようだ。


「すみません、いろいろ聞いてしまって」


「いえ、確かに理由を求めるのは当然の行動だわ。人を知るにはそれが一番だもの」


「お嬢様、頼むので自分の立場を理解してください。普通の人なら別に理由は聞かないのですよ」


「?」


「やはり、分かっていない……」


「マオ様、そこがサルネ様の魅力なんであります」


「それはそうなんですが……」


どうやらマオさんの苦労は終わらないらしい。確かにあのお嬢様ならいろいろ苦労するだろう。私は心の中にこっそり彼女を応援した。


「…そういえば、さっきからメリーちゃん一言も話してないけど……」


「…」


「…また、気絶してる。何がそんなに衝撃的だったのよ……」


まぁ、いろいろあったが取り敢えず私たちはチームを作れた。

 ちなみに後で聞いた話だからどうやらメリーちゃんは大のサルネ様のファンらしい、さっきまでの反応は好きすぎるが故のことらしい。……気絶するほどのファンって、レベル高すぎない?

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