第2話 噂の彼女
私がクラメルに話しかけると周りが急に騒ぎ始めた。
「ちょちょ、え?聞いてた?マリーちゃん。その子、危ないかも知れないんだよ?」
「大丈夫、聞いてたよ。ただ本当にそんな人か確かめたかっただけ。」
私がそうやってメリーちゃんに話しかける
メリーちゃんは心配そうな表情を浮かべていながらも見守っている。どうやら彼女は私を信じてくれるらしい。
私としては人を見た目で判断したくなかっただけなのにどうしてここまで言われているのだろうか?
しばらくクラメルを見つめていると彼女がこちらに気づいたようでこちらを向いてきた。
「なんのようかしら」
「すみません、クラメル様。隣の席になったので挨拶がてら少しお話がしたいと思ったのです」
「ふふ、あなたとても勇気があるのね。噂を聞いても話しかけるなんて。」
「はい、人を見た目で判断するのは嫌いなので」
「素晴らしい心がけね。でも、ごめんなさい。わたし人と関わるの苦手なの。だから、申し訳ないけど話しかけないでもらえるかしら」
彼女は瞳が見えないぐらい細めた目で私を見つめ艶やかな声でそう言ってきた。その見た目はあまりにも美しく私はそれに見惚れてしまう。
「聞いているのかしら?」
「あ、はい。すみませんでした」
私がそう言うと彼女は少し微笑んだ後、
また彼女は本を読み始めた。
「マリーちゃん、大丈夫だった?心配したんだよ」
話が終わるとメリーちゃんが私に話しかけてきた。彼女は若干涙目にもなっていて本気で心配していたようだ。正直大袈裟である。
「大丈夫だよ、ただ話しただけだから」
「でも、彼女に話しかけた子が次の日から登校しなくなったと言う話もあるんだよ」
「大袈裟だよ。流石にそうはならないって。」
私は彼女の目を見てそう言った。
そしたら彼女はようやく安心してくれたようでいつもの明るい笑顔に戻っていた。
出会ってまもない友達に対してここまで心配してくれる彼女は本当に優しい子なんだと思った。
「心配してくれてありがとうね」
「ううん、いいの。メリーちゃんは友達だから」
(……それにしてもただ話しただけでここまで心配され、クラスでも騒がれる。一体クラメルさんは何をしたらこうなるのだろう。
話した感じは人と関わるのが嫌いな普通少女だったと思う。
気になる点としても目が悪そうでもないのにすごく目を細めていたことぐらいだ。
でもそれも細めキャラという可能性もあるためあまり気にしなくてもいいと思う。)
私は嫌われている原因を考えているがまるで思いつかない。それなのに何故か私は彼女に対して大きな違和感を抱いていた。
そう、前世どこかで見たことがあるような……
ーキーンコーンー
そう考えているうちにチャイムがなる。私は結局、心にモヤモヤを抱えながら授業を始めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます