3、4話 食堂

「昼だー!!」


「いぇーい!」


 お昼休み、私はメリーちゃんとこの学園の食堂にきている。

 入ってすぐのところには食券が置いてあり、そこから食べたいものを買って行く方式らしい。


「うーん、どれにしようかなぁ?」


 選べるのは、定番のうどんなどから麻婆豆腐まで様々なもので定価もクソやすい。

 写真だけでも目を惹かれる美味しそうな料理ばかりで

なにを食べようか、すごい悩みどころである。


「……ねぇ、メリーちゃんのおすすめはどれ?」


「そうだなぁ。私のおすすめとしてはやっぱり日替わりランチかな? 毎日変わる上にハズレがないからみんなから大人気なんだよ」


「へぇー、じゃあせっかくだしそれにしてみようかな?」


 迷いに迷った結果、私はメリーちゃんの言う「日替わりメニュー」にしてみることにする。

 人気も高いらしいし、やっぱランダムで出てくる方がワクワクもあるし、やはり美味しそうだなと思ったからだ。


**


「んー、おいしいー!!!」


「うんうん、さすがこの食堂の料理だよ」


 食堂は人がいっぱいだった私たちはたまたま空いていた4人用の席に座っている。


 今日の日替わり定食は生姜焼き。

 お米と野菜スープのついた健康的でとても美味しいメニューだ。

 味はというと、これがマジで美味しくて前世の記憶を合わせてもこの料理の順位はダントツの一位と言えてしまうほどだ。


「いやー、学食でここまで美味しい料理が食べれるとは思ってなかったなぁ」


「わかるよその気持ち。私も最初に来たとき同じことを思ったし」



「……お隣よろしいかしら?」


 そうして二人でご飯を食べ勧めている中、そう声をかけてきたのは金髪のふわふわの髪をした令嬢。

 ものすごい美人の人で体は少し鍛えているのか筋肉質なように見える。


「……あ、どうぞ」


「ありがとう。それと私の連れの二人もついでにきていいかしら」


「全然いいですよ、4人席ですけど5人ぐらいなら入ると思いますし」


「それはよかったわ。ここの学食本当に混むからなかなか3人座れる席がなくて……」


「あー、確かに人めっちゃいますもんね」


 ちょっと周りを見渡しても人の背中しか見えず、空いている席なんて一つも見つからない。

 そんな中私は無意識にクラメルがどこにいるのか探すがやはりその姿すらも見えることはなかった。


「……すみません、サルネ様。遅くなりました」


「……であります」


 周りを少し見ているとやってきたのは、金髪の令嬢さんが言っていたお連れの人たちだった。


 一人はメイド服を着ていて黒髪のクールな見た目をしたポニーテールの女の子。

 もう一人はショートの朱色の髪が似合う、小柄な体型の可愛らしい子である。


「マオ、ハナ、遅いわよ」


「すみません、ハナがどうしてもハンバーグが食べたいっていうもんで……」


「だって、ハンバーグの気分だったのであります」


「だからまだまだ子供なんですよ」


「……な!? 何を言うでありますか!? 私は将来立派なレディになるでありますよ!?」


「ハナが立派なレディ……ぷぷっ」


「あー笑った!! 私の夢を笑ったでありますね!?」


「そんなこと……ぷぷっ」


「やっぱり笑ってるであります!!!」


 小柄な子、おそらくハナという名の彼女はメイドの子おそらくマオという名の人をポカポカと殴る。

 目は若干涙目で、顔は赤くなっている。

なんというか、微笑ましい光景を目にできた私は「眼福眼福」と心の中でお祈りをしておいた。


「……ごめんなさいね。うちの子たちが騒がしくて」


「いえ、全然大丈夫ですよ。……ね、メリーちゃ…」


「……あ、あわわわわ」


「……メリーちゃん?」


「ま、ま、ま、マリーちゃん。そ、その人、よよ四大貴族の……」


「……へ?」


「あら、そう言えば自己紹介してなかったわね。私はサルネ・テンサンス、紹介してもらった通りテンサンス家に所属しているわ。よろしくね」


「………」


「それでこのメイドの子が——」


「どうもマオ・メイエルです。サルネ様の専属メイドをしております。以後お見知り置きください」


「はい!! 私はハナ・カラトルであります! よろしくであります」


 彼女たちはサルネに合わせてそれぞれ自己紹介した。

 やはり仲が良いのか、3人は息がぴったりでそれぞれを見て笑っていたりしている。

 とても微笑ましい光景なのだが、私は今それどころではなかった。


 だって、テンサンス家はこの国の最高権力者の四つの家、「四大貴族」と呼ばれる文字通り次元の違う階級の人たちなのだから……

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