第3話 目標

先日の魔物との戦いから1週間経った。黒装束の男・・・エルドリックさんに助けられた後、家に帰還した俺は両親にこっぴどく叱られてしまった。最初は一日帰らなかっただけで大袈裟だなと思ったが、そういえば俺はまだ6歳だ。だから親が心配するのも当然のことだ。これは反省・・・。




そして俺はあの日からエルドリックの家に通うようになった。魔法について教えてくれるらしい。


最強を目指す俺にとって、この世界に存在する力を知れることは願っても無いことだ。






「今日は何を教えてくれるのですか?」




「これからは魔法を使えるように鍛えてやろうと思っている。」




来たか!いずれ来ると思っていたがとうとうこの時が!ずっと待っていたんだ、魔法の使い方を教えてくれるのを!今までずっと魔法の知識しか教えてくれなかったからな。




「願ってもないことです!よろしくお願いします!」








俺たちはエルドリックの家を出て、すぐにある広場に移動した。




「まず、今まで教えた魔法の基礎知識を簡潔に言ってみなさい、魔法知識の確認だ。」




「はい!


まず魔法の種類には大きく別けて火、水、風、土の四大元素があり、その元素を使う魔法を四大魔法と言う。そしてその元素たちはこの世界を維持するために絶対に無くてはならない『絶対存在』である。さらに四大元素の他に、特殊元素があり、この元素だけは元からある特殊元素と個人しか扱えない唯一の元素、『唯一元素』に別けられる。


これらの魔法を発見、開発したのが、約4000年前に存在していたと言われる人物、名前は確か・・・『アグラヴァーン・エルデンストール』後に『大魔法使い』や『大賢者』などの二つ名をつけられ、死後もその偉業を忘れられないために当時のアグラヴァ―ンの弟子たちが『魔導書』を執筆した・・・。


でしたっけ?」




「一言一句教えた通りだ。まだ6歳だというのに素晴らしい学習力と記憶力・・・。よし、それでは今から少年の現時点での所持魔力量を測る。その結果を見て授業内容を決める。」




「はい!」




所持魔力量・・・つまり俺が持っていて使用できる魔力の量を測るってことか。


あ、少なかったりしたら魔法が使えないとかあるのかな?いや!大丈夫なハズだ!なんてったて俺は転生者だ!そこら辺の子どもよりかは多いに決まってる!多分・・・。




エルドリックは懐から正方形の小さな石板を取り出し、地面に置いた。その石板に手をかざすだけで所持魔力量が数字として浮き上がるという。




「では・・・。」




石板に手をかざすとポゥと石板から光が放たれ数字が浮かび上がる。




(そういえば数字の勉強してなかったな、分からん・・・。)




「これは、なんと読むんですか?」




「ふむ・・・少年の所持魔力量は109だ。」




109・・・微妙な数字だな・・・。




「109ってどうなんですか?多い方なんですか?」




「6歳で所持魔力量109は平均値だ。」




平均・・・平均?・・・平均かぁ~。もっとこう、転生者補正とかないワケ??まぁ最強への道は簡単じゃないってことか。




「それで、この魔力量だと一体何ができるのでしょう?」




「魔力量が109ならば初級魔法が扱えるだろう。」




「初級?魔法使いには階級があるのですか?」




「おぉ、そうだったな。まだ階級について話していなかったか、では今教えよう。」


「魔法使いには階級があり、下から初級・下級・中級・上級・聖級・星級・豪級・神級の8つの階級に別けられる。初級から星級までの階級は称号所持人数が多く、大体の人は星級までを目指す。」




「なぜ星級以上を目指さないのですか?」




「星級までが人間を保っていられる最終地点だからだ。「豪級以上の称号を持つ者は人間ではない。」


豪級以上は、そう言われるほどのバケモノしか得ることができない階級だからだ。」




なるほど、と言うことは神級となるともう誰も太刀打ちできないくらい強い力を持つ奴なんだな。




「ちなみに神級ってどのくらい強いんですか?」




「神級の称号保有者は『世界最強』だと言われている。力が膨大すぎて誰もその実力を知ることができないのだ。」




まじか、そんなにヤバいのか神級は。でも、この世界にはすでに『最強』がいたか・・・。






・・・決めた。俺はその神級になるぞ。魔法を極めて、この世界の誰よりも強い力を手に入れて既にいる神級を越えて最強の魔法使いになってやる!








「分かりました、ありがとうございます!では早速、授業を受けさせてください!」




「・・・ブラックウッド、君の目指す道はとてつもなく険しい道になる。それでも魔法を極めることを諦めないか?」




エルドリックは俺の何かを悟り、覚悟を試すかのような様子で俺に質問した。しかし俺はもう覚悟を決めている、もう誰にも止められないほどにこの道を進み始めている。




「はいっ!もう決めたことです!」




「・・・分かった。なら私も微力ながら力を貸そう、君がその険しい道を歩けるように。」




今日から俺の大魔法使いへの道が始まる―――。

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異世界戦記~ここで俺は最強に至る~ かげ @Kage-1110

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