触44・触手さん鮫と交える

日が燦々と大地を照らし、程好い暖かさで、ささやかな風が草木を揺らす。

ん~平和だねぇ~、このまま何事もなく進んでい行けるといいんだけどな~


鋼鉄のコンテナの上であくびをしつつ草原を眺める。

メアリーとスケルトン部隊が先頭になり、ビノセとパディカ、そして最後にクオと私を載せたコンテナが進んでいく。


今私が載ってるこのコンテナ、クオの発明品で、箱状で私でも載れるくらいでかくて頑丈。

更にキャタピラが着いていて電動の自動移動式ときたもんだ。

最大速度は全速力の馬くらい速いらしい。


いかんせん移動が遅い私や荷物を運ぶ為に用意してくれた。

いや~快適快適、サスペンションもしっかりしているのか揺れも差ほど無い。


毎晩神殿に戻るのも面倒ってことで、食糧やら仮設テント等も積んできた。

これなら数日移動して一旦戻ることも可能だ、転移魔法は魔力それなりに使うみたいだし。


んで、道中たまにやって来る魔物を蹴散らしつつ、何度かの野営を繰り返し4日程経過し、

草原を抜けると目の前には砂漠が広がっていた。


【この砂漠の先にルーデ海があるようです】


メアリーが地図を開いて説明する、ざっと半分くらいまでは進んだってとこか。


「日射しがかなり強そうだ、フライパンになりそうだからコンテナは幌を出しておこう、日除けにもなるだろう」


クオがコンテナを操作すると、幌が自動で展開されていく、便利だな~


準備も出来たので砂漠へ進入していく。

環境がガラリと変わり一面は砂だらけ、草木も消えサボテンが点々としている。

生き物の姿もあまり見られない、時折小さな蛇やら蠍が居るくらいだ。


しっかし……クソ暑い、幌のおかげで直射はしないものの気温が高い。

空気もカラッカラで直ぐ喉が渇いてくる、これが砂漠か。


そういや砂漠って夜は逆にクソ寒いんだっけ、気温差で風邪ひかなきゃいいが。


暫くしてメアリーとスケルトン部隊以外全員がコンテナに乗り込んだ。

スケルトンは気温も乾燥も問題ないとの事で先頭を歩き続けている、骨ってこういうところ凄いな。


暫く進んで日がやや傾き始めた頃、な~んも無い砂漠に少々気が滅入ってぼんやりと後方遠くを眺めていたときだった。

砂がモリっと隆起した様に見えた。

気のせいかな、と思ったがそれは段々とこちらに近づいてくる。何だろうと注視していると、

隆起しているそれは沈み、突如として砂から飛び出して来た。


うぉっ何じゃこれ!!

背びれと尾びれがついてるが魚か!?


いや違う、これは……


「サンドシャークか!!」


クオが叫ぶ。

シャークってことは鮫か、砂中を泳ぐとは面妖な。


そいつは砂面を掻き分けながら進むとコンテナ目掛けて突進してきた。


うおわっ!!


倍くらいのデカさのサンドシャークがコンテナと衝突し激しく揺さぶられる。

こいつ、横転させる気か!?


「また来るぞ!!」


体当たりをしたサンドシャークは体勢を整えまた突っ込んでくる。


「させるか!!」


コンテナから飛び降りたビノセが右手を前にかざすと風の刃が吹き荒れる。

が、サンドシャークは砂に潜りそれをかわした。


巨体に見合ず素早いな。

何度かメアリーやビノセ達が魔法で迎撃するも避けられてしまう。

う~ん、潜られるの何とかしたいな~


……あ、そうだ。

いいことを思い付いた。


サンドシャークの何度目かの体当たり、再度飛び出してくるのを待ち……


今だ!!


砂面から離れた一瞬を突き。


「オロロロロロロロッッ!!!」


口から大量の泥を噴出させる。

今ゲロイン言った奴前に出ろ。


風の大精霊のときと同じように土の大精霊から魔法を使えるようにして貰った。

今回は土の魔法、但し少し手を加え、泥に乙女汁を混ぜて噴出させたのだ。


速乾性を持った泥はセメント宜しく直ぐ様固まり、砂の上を岩のようにする。

砂に潜れなくなったサンドシャークはその上でビッタンビッタン跳ね回った。


こうなれば最早まな板の上の鯉である。

さあ調理してくれよう!!


乙女汁ソードでエラを一気に串刺しにする。

サンドシャークは激しくビチビチと暴れるもなすすべなく、暫くして抵抗虚しく大人しくなった。


さて、これどうしよっか。

鮫って新鮮なうちは普通に食えるんだっけ。


とか思ってたらメアリーが解体を始めてあっという間に肉になった。

そして魔法で氷付けにしてコンテナに仕舞い込んだ、後で煮付けにするとのこと。


尚、骨は骨粉にすると良い肥料になるらしい。

棄てる所が一切無い、素晴らしい魔物であった。


後日に食ったサンドシャークの煮付けは大変美味でありました。

また食べたいな。

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