触43・触手さん海に向かう
この世界は日本人によって創られている。
そう考えれば色々合点がいく、いくんだが……
「そんな事が本当に可能なのか、そう思うよね」
クオに言われて頷く。
「正直、私も同意見だ。普通に考えて、人間がこのような世界を作り出せるとは到底思えない。
だが、もしここが仮想空間であるならば不可能でもないのではとも思っている。
そう、例えば実際は私達は寝ていて、ゲームの中に入り込んでいる、とかね」
ふむ、誰かが作ったゲームにインしているってことか。
それも結構無茶な話ではあるが、技術的には可能なのかもしれない。
「まあ仮説でしかないんで確証は一切無いんだけどね。もしかしたら本当に創り出された世界かもしれないし」
【どっちにしろ、現状は何も分からないってことね】
「残念ながらね」
肩をすくめるクオ。
とはいえ、ここまで状況が一致している以上、日本人が絡んでいるのは恐らく正しいんだろう。
どうやって創ったのかは丸で分からんが。
ここで考えてても何か分かる訳で無し、今は出来る事をするまでだ。
「とりあえず、この話はここまでにしておこうか。
そういえば、次に行く場所は決まっているのかな?」
ん、あ~、そういや次何処だっけ?
え~っと……
【ルーデ海です】
【うぉっ!?】
メアリーがホワイトボードを出して後ろから現れた。
気配感じなかったから驚いたわ。
「ふむ、ルーデ海か。様々な海洋種族が住まう地だね」
【はい。人種によって環境が著しく悪化し続けているそうで、そちらの解決に向かいます】
環境の悪化か、一体何をしているんだか……またろくでも無さそうだが。
【そこまではどれくらいかかりそう?】
【そうですね、ウチャデ鉱脈とそこまで変わりませんので、数日で着けるかと】
ふむふむ、今回も移動と帰還を数回繰り返すことになりそうだな。
メンツはメアリーとスケルトン部隊にビノセとパディカ、後今回ピヨ彦は置いていく。
今後もゴーレムとかが出てくると危険が伴うし、戦闘の度に避難させるのもね。
子供スケルトン達と一緒に遊んでるし、私が常に側に居なくても、もう大丈夫であろう。
という訳でメンツも決定……
と思ったんだがクオが手を上げた。
「私も同行していいかな?」
ん~、まあクオが着いて来るのに問題は無さそうだが……
「私は機械類に自信があるからね、何かと役に立つこともあるだろう。自分の身は自分で守るから安心してほしい」
ふ~む、ほんじゃクオも一緒ということで。
【オッケー】
私の了承を得たクオは、旅の準備をしてくると言って自室に戻って行った。
お腹も減って来たので私は食堂に向かうことにした、朝御飯は何だろな。
食堂に着くと、既に配膳が始まっていた。
私の席には食器が並べられており、料理をスケルトン達が盛っていく。
着席すると、残りの料理も全て出揃った。
ソーセージに目玉焼き、新鮮なサラダ、乳白色のスープにロールパン。
ご機嫌な朝食だ。
まずはスープをスプーンですくい啜る。
ジャガイモのポタージュか、牛乳が加えられているのかコクがあって旨い。
皿からロールパンを拾いあげ二つに割る。
焼きたてでほんのり湯気が立ち昇り、香ばしい匂いが食欲をそそる。
割った面にバターをたっぷりつけて頬張ると、適度な塩気を持つバターが合わさりこれまた旨い。
サラダ、ソーセージ、目玉焼きと、次々に口へ運び、気がつけば全ての料理は胃の中におさまっていた。
あ~食った食った、実に満足。
食後の紅茶を飲みながら腹をさする。
ほんのり砂糖が効いててこれも美味。
余韻に浸りホゲ~っと食堂を眺めて居ると、入れ替わり立ち替わりスケルトン達が出入りしている。
結構増えたな~、この大食堂、割りと大きいんだけど、どうやら一度に全員は入れきれていないようだ。
何度かに分けて食事を取っている様子。
こりゃ新しい食堂も作らないとあかんなぁ、今後もっと増えるだろうし。
畑とかの拡張も必須か、つか敷地足りるかねぇ、神殿周囲も限界あるしなぁ、まだ余裕あるとはいえ。
何かシムシミュレーションじみて来たなぁ、目指せメガロポリスってとこか。
さって、ぼちぼちルーデ海に行く準備すっか。
紅茶を飲み干し食堂を出て自室に向かう。
それから小一時間後、私、メアリーとスケルトン部隊、ビノセとパディカ、そしてクオは、
神殿前に集合した。
ピヨ彦はお留守番で、今は庭で子供スケルトン達と遊んでいる。
う~っし、それじゃルーデ海に向かいますか~!!
建築の進む神殿を後にし、私達は出立した。
やることやって戻る頃には色々増えてそうだなぁ此処も。
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