触23・触手さん饗(きょう)される
骨メイドに促されて入口の木製の扉に入る、私でも楽々通れる大きさだ。
扉を過ぎると正面に立派な階段、その左右にはそれぞれ廊下が見える。
前を歩いていた骨メイドが立ち止まると周囲を見渡し始めた。
そしてツカツカと階段の方へ行くと手すりを人指し指でなぞり、一瞬の間を空けて此方に戻ってきた。
軽く会釈をすると彼女、メイド服だし多分女だろう、骨に性別関係無いかも知れんが。
は駆け足で右の廊下に消えて行った。はてどうしたんだろうか?
しかし外もボロボロだったけど中は更に酷い、床に敷かれた絨毯らしきものは色褪せて虫にでも食われたか穴だらけ、窓のカーテンもしかり、壁もあちこちひび割れてる。
かなりの年月放置されていたって感じ、見た目神殿ぽいんだが何でこんなとこに建ってるのやら。
暫くして、彼女が戻ってくると手招きされた。何かあるんかな、再び廊下に入っていくので着いていく。
だだっ広いそこを進んでいくと奥に開いた扉があり、中から水の流れる音、そして熱気が漏れてくる。
入ると脱衣場みたいになっており、その先には大浴場が広がっていた。
西洋式だろうか、大理石の柱が何本も立ちそびえ、中心には円形の巨大な浴槽がある。
大人数で同時に入れるようで、私が入ってもかなり余裕がありそうだ。
う~んと、風呂に入れってことか?まあ溶岩地帯通って来たしありがたいけど。
進んで湯船に入る、いい湯加減だ、どっぷり浸かりふ~っと息が漏れる。
ピヨ彦も恐る恐る入ると、問題無いのか泳ぎ始めた。
あ~いい湯だね、つかこのお湯どっかから引っ張ってきてんだろうか、結構な量が石で出来たライオンの口から出てるけど。
てかこの世界ライオン居るのか、ライオンだよなどう見てもこれ。
中層が溶岩だったし温泉沸いてんのかね?
そんな事考えてると骨メイドは会釈すると外に出て行った。何かしに行ったのかな、まあいいや、ゆっくり寛ぐとしようか。
すっかり温まりそろそろ上がろうかと思っていると、彼女がバスタオルぽい布を持って来た。
あ~、拠点の風呂入ったときは拭かなかったな~、そもそも拭く物無かったし。
まあ地面濡れても問題無かったけど、ここじゃそうはいかんわな。
ピヨ彦と一緒に上がると布を受け取ろうと触手を差し出す、が。
彼女はそれを渡そうとしない、はて?どうしたのだろうか?
一瞬の間を置いて、ハッとしたような感じで布を渡してきた、う~ん?
受けとるとそれでピヨ彦を拭いて私も身体を拭いた。
浴場を出ると一旦玄関まで戻り左の廊下へ案内される。
廊下を進み程なく行くと、そこは食堂だった。大浴場に勝るも劣らぬ広さで木の長テーブルと椅子が沢山並べてあり、奥中央には一際大きいテーブルと椅子...いや台座と言った方がいいだろうか、そのくらい大きい椅子が置かれていた。
そしてその大きいテーブルには料理が幾つか並んでいる。
ふむ、風呂の次は食事か~、どうやら私はこの骨メイドにおもてなしされているようだった。
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