触22・触手さん骨を見つける
う~ん、何か涼しくなってきたな~
坂登り始めて結構経ったかね、溶岩地帯からかなり離れたのかもう暑いということもなく、上から吹いてくる風が心地よい。
道の隅には草も生えている、この辺は地面が岩だけでなく土も見える、乾燥もせずある程度潤っていた。
さ~てこれで何も出て来なきゃ楽なんだけどね~...お?
登ってきた坂もここまでのようで、平坦な場所に出た。溶岩地帯とは違う明るさが上から徐々に広がってきていたので何かと思っていたが、そこは日が一面照らしていた。
周囲は高い崖に囲まれている、元火口っぽい感じだね、溶岩はだいぶ下だけど。
てか...太陽だー!!!お天道様じゃー!!!
思わず太陽に拝む、だってず~っと暗いとこ居たんだもんよ拝みたくもなるでしょ!!!
ぐ~っと背伸び。
あ~あったけぇ...日が身に染みる。
このまま寝転びたいところだがまだ我慢、肝心の所まで行かんと。
さて、地図によるとここが上層のはずなんだけど...ん?あれか?
ちょいと離れた場所に建物が見える、結構大きそうだな。
いそいそと這いずって進む。
近づいて行くと畑があった、ただ長年手入れされていないのか荒れに荒れて雑草だらけだが。
後...
あっちこっちに骨が散らばっていた、多分人骨か。
ここに住んでた人達の成れの果てだろうか、ナムナム。
とりあえず拝んでおく。
畑を抜けて、見えていた建物にたどり着いた。
白色のレンガで作られている立派な神殿のようだった、外周は塀に囲まれ正面には鉄製の柵門がある。
半開きのその柵門を開けて中に入る。
庭園だろうか、荒れて無惨な円形の生垣、中央には枯れ果て水の出ていない噴水。
昔は水を吹き上げ、花も美しかったのかもしれない。
周囲をキョロキョロ見渡していると、生垣の影に誰かうつ伏せで倒れているのを見つけた。
近寄って見ると、シックなメイド服を着ていた。
ただ、服は劣化しているのかボロボロで...白骨だった。
ここで死んだのだろうか?なんでこんなとこで死んだのかは分からんが。
てか白骨死体なのに髪しっかり残ってんな、なんか割りと艶々した黒髪だし...
不思議に思いじ~っと観察していたそのとき。
そいつがむくりと起き上がった。
「うどわぁぁぁぁぁ!!?」
驚いて思わず後ろに飛び退いた。
白骨死体がいきなり動き出したらそら驚くでしょ~よ。
すくっと立ち上がってこちらを見ている。
するとふるふる震えだし...
跪づいた。
何か既視感あんな。
そして再度立ち上がるとロングスカートの裾を両手でつまみ上げ会釈をしてきた。
普通白骨死体がこんな真似はしない、それはメイドその物だった。
帰ってきた主人を出迎えるメイド、そんな感じを思わせる。
白骨死体改め骨メイドが右手を差し手招いてきた、着いてこいということだろうか。
悪意はなさそうだし攻撃してくる様子も見受けられない。
ここは一つお誘いに乗ってみるとしようか。
骨メイドに誘われて私は建物の中に入っていった。
何処か懐かしさを朧気に感じながら。
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