第2話 血濡れた料理人
瑞希「あ、あなたも参加される方ですか?」
太郎「えぇ、羽を伸ばせと妻が勧めてくれまして」
瑞希「まぁ!良い奥さんですねぇ!」
二朗「あの、ここがホトトギスの館ですか?」
太郎「おぉ、君もか。若いね〜。大学生」
二朗「あ、あなた達もディナー参加者ですか!楽しみですよね」
瑞希「えぇ、本当ですわ」
誠也「おっと!僕遅れちゃったかな?遅刻厳禁なのに〜!」
太郎「おや、まだ時間はありますよ。もう食堂に向かいましょうか」
瑞希「そうですね。あ、私は今井瑞希と言います」
二朗「えっと、自分は木下二朗っス!大学2年やってます」
太郎「私は山下太郎。山下と呼んでくれ」
誠也「僕は泉誠也22歳です!誠也って呼んで欲しいです!あ、ここが食堂みたいですね」
誠也は、金の模様がついている重々しい扉を開けた。
中には、長方形のテーブルにシャンデリア、各座席にネーム立てが置いてあった。
渡辺吉影の席に座り本を読んでいるサングラスの青年は、誠也達を一瞥し、また目線は本に戻った。
サングラス越しでも分かる鋭い眼光は、野生のコンドルを彷彿とさせた。
誠也「あ、席に名前が書いてあらぁ。僕1番奥かぁ」
瑞希「へー良いじゃないの。ホテルみたい!」
太郎「玄関口と言いここと言い、西洋の屋敷のようだ。ここで1泊くらいしてみたいものだな」
二朗「うわ!本格的に高級っスね〜。俺やっぱドレスコード守ればよかった」
二朗は、黒のジャケットに白い半袖にジーンズ、スニーカーという、とても屋敷には似つかわしく無いような格好をしていた。
太郎「もうじき食事が来る時間だ。みなさん座りましょう。
奥から順に、渡辺、太郎、誠也、二朗、瑞希の順に座った。
不思議なことに机のもう片側にはネーム立ても椅子すらも置いていなかった
〜20分後〜
二朗「あの、流石に遅くないですか?」
太郎「あぁ。もう20分になるぞ。料理が遅すぎる」
瑞希「何かあったのかしら」
太郎ら5人は全員でキッチンに向かう。
瑞希「こういうのって、一流の人だったりしたら勝手に開けたら怒るんじゃ無いかしら?」
渡辺「私は断固開けないぞ」
二朗「渡辺さんそんなに心配しないでくださいよ」
太郎「最悪、食材の毒とかで倒れてるかもしれないんだ。そんなこと言ってられないさ」
ギィィ…
太郎が扉を開ける。
扉の向こう、キッチンでは、包丁が腹に刺さった料理人の姿があった。
二朗「ギャアアアアアアアア!!!!」
瑞希「きゃあああああああ!!」
太郎「なッ…なんだぁぁぁぁこれはぁぁぁぁぁぁ」
誠也「119!!110!!たすけてくれぇぇぇ!!」
渡辺「落ち着け!!!まずは110番だ!!」
絶叫を発狂が塗りつぶす地獄絵図が広がった。
ディナーを楽しみにきたのに人の死体を見つけた、というのもあるのだろうが、1番の要因はこれだ。
血で、「次ハせぃ也」と書かれていた。
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渡辺「鼓動も息もない。失血死だ」
太郎「うぅ…なんでこんなことに…誠也くん、気をしっかり」
誠也「殺される…。僕は死ぬんだ…」
瑞希「…電波は通じなかったわ。車もバイクもダメになってた」
二朗「…あの、この館に俺たちを招待した館の主人がいるはずっスよね?」
太郎「?あぁ、確かに…。!?となるとそいつは今どこに!?」
誠也「!?」ビクゥ!
瑞希「そんな…犯人は主人でまだこの館にいるってこと…?」
二朗「だって…俺たちを殺すためじゃなきゃ、わざわざ招待してから殺したりなんてしませんよね…」
渡辺「いや、招待状にわざわざ遅刻厳禁と書くような奴が20分も食堂に来てないんだ。逃げたか死んでるよ」
誠也「………うぅ………もう2人も…」
二朗「あの、これから俺たち、歩いて帰るんスか?それとも泊まり?」
太郎「…歩いて帰るには夜の山の中は危険すぎる。が…殺人鬼と一緒かも知れないのに寝れるか、ということだ。…特に誠也くんはな……」
瑞希「一応……料理はできてるし…食べましょう?みんなお腹空いてるだろうし、帰るにしても食べておいたほうがいいわ…」
渡辺「あぁそうだな。食欲の有無は別として食べられるに越したことはない。私が配膳しよう。みな一度食堂に戻ろう」
渡辺は全ての皿をワゴンに乗せ、食堂まで歩いて行き、他の4人はそれについて行く。
続く
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