1-5 不良トリオ、砕け散る
その朝、まだ教室に入る前の春日高校校門付近――。
ウンコ座りをして、昭和風のヤンキー三人が地面に唾を吐いていた。
「なあ、有瀬さん、聞きましたか?」参謀役の戸塚が低い声で囁いた。
「旭中の井上真一が新入生にいるらしいですよ……」
「井上真一だと……?」リーダー格の有瀬が剃った眉をひそめた。「あの市内最強の不良の井上か? 半グレをぶっ飛ばしたっていう……」
「そうです」戸塚は周囲をキョロキョロ見渡しながら声を潜める。「むしろ、井上本人が半グレなんじゃないかって話も……!」
「……」
大男の保谷は黙ってコクコクとうなずいている。
有瀬は天を仰いで溜息をついた。
「不良だらけの南中じゃ泣かず飛ばずで、高校でこそは全国制覇するって猛勉強して。やっと三人揃ってヒョロガリのシャバ僧しかいねぇ進学校に来たのによ……。初っ端から最強クラスがいるとか、マジ泣けるぜ……」
その時だった。
「あー、君たち、ちょっといいかな?」
背後から聞こえた声に、三人揃って、メンチを切りながら振り返る。
と、そこに立っていたのは、長身で制服をきっちり着た井上真一だった。
三人は青ざめ、声を揃えた。
「うわっ! 井上! いや……、井上さん……!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます