第4話:門限と学園のセキュリティ

 学生寮の門限は22時。

 外出からの帰りが遅れ、門限を破ってしまった寮生には、トイレ掃除という罰が待っている。

 ウッカリ門限を過ぎてしまった寮生ワラは、寮監に見つからないようにコッソリ帰ってきた。


「ただいま」

「お……おかえり」

「って、なんで窓から?!」

「ここ2階だけど?!」


 ワラは部屋の扉からではなく、窓から部屋に入ってきた。

 1年生の部屋は2階にある。

 ワラは非常階段で2階まで来たけど、鍵が閉まっていて建物に入れなかったから、ベランダを伝って僕たちの部屋まで来たのだった。


「あ~焦ったぁ。ここの門って警報機ついてんだね」

「マジか……」

「さっき裏門からコッソリ入ろうとしたら、ブザー鳴ってめちゃくちゃ焦った」


 座って一息ついたワラは、今回初めて知ったセキュリティについて教えてくれた。

 寮があるのは学園敷地内。

 入るには学園の正門または裏門を通ることになる。

 ワラは閉まっている裏門を乗り越えた途端、不法侵入探知機みたいなモノにひっかかったらしい。

 確認に来たっぽい寮監が持つ懐中電灯の光を避けつつ、ワラは見つからないように逃げ隠れて、寮監が建物内へ入ったところで非常階段経由の窓から帰還に成功したという。

 後日それを寮生ではない学生に話したら、面白がってわざわざ夜22時過ぎの校門まで確かめに来ていた。


「赤外線ビームセンサーだね。警戒ラインを通るとブザーが鳴る仕組みだよ」


 と言う先輩学生クキさんは、赤外線を可視化するゴーグルを使って裏門付近を調べてくれた。

 そのゴーグルは「お父さんの持ち物」だとか。

 まるで怪盗が使いそうな道具だけど、クキさんのお父さんは警察関係者だ。

 ってか、そんなの持ち出してよかったの?(汗

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