第2話:学生寮のベッドが折れた話
学生寮は二人部屋。
僕のルームメイトはジュンという小柄な子で、学部も同じ。
二人部屋なのに、何故か隣室に入ったエイとワラという寮生が来て入り浸り、大して広くもない部屋で四人暮らしみたいになっていた。
エイとワラも同じ学部で、一緒に課題をやったり、夏休みにはみんなで旅行したり、仲良く楽しかったのを覚えている。
あるとき、僕が外出から帰ったら、ジュンとワラが爆笑する声が聞こえてきた。
そこは僕たちが暮らす部屋ではなく、隣のエイとワラの部屋。
「なになに? どうした~?」
って聞きながら、その部屋の扉を開けた僕、しばし呆然。
……どうして、そうなった?
なんと、部屋にある二段ベッドの片方、上の段がV字型に折れている。
その折れたベッドに、エイのケツが挟まっていた。
「たぁすけてぇ~」
情けない声を出すエイは、ケツを下に両足両腕を天井に向けてジタバタしている。
その後救出されたエイから事情を聞いたんだけど、ベッドが折れるようなことはなにもしてないという。
エイは片想いの相手から手紙が届いたから、僕たちに見られないように普段は使っていない部屋のベッドに上がって読もうとしただけ。
ところが、座った途端に何故かバキッという大きな音がして、ベッドが折れたという。
音で異変に気付いたジュンとワラが駆け付け、マヌケな格好に爆笑したところへ僕が帰宅という状況だった。
壊れたベッドは寮監に報告して交換になったけど、こんな壊れ方をしたのは初めてとのことだった。
エイは【ベッドをへし折った寮生】として学生寮の歴史に名を残した……かもしれない。
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