【短編】実録・学園生活ネタ

BIRD

第1話:個性的な理事長

 僕の母校はネタ満載だった。

 入学式での理事長の第一声は今でも忘れられない。


「私はおばあちゃんではありません!」


 壇上で、マイクに向かった直後にこれだ。


 ……え?

 いきなり何?


 僕を含め、固まる新入生一同。

 その後に何を言ってたか忘れるレベルの第一声だった。


 一体、何があったのか?

 新入生の誰かが「おばあちゃん」と呼んだのか?

 真相は、今も不明である。


 理事長は当時の年齢不明だけど、見た目は白髪で顔には深い皺があり、推定80代くらいの人。

 気性の激しい人で、その後も怒鳴る場面があったという。


 入学式の次に伝説に残る(?)のは、軽音部の学生に向かって言った言葉。


「ちょっとそこのあなた! 女の子がそんなだらしない服装して!」


 理事長が怒鳴りつけたのは、破れたスリムジーンズとGジャン、髪は勝手に伸びた感じで腰まであるワイルド系長髪の学生。

 しかし、怒鳴られた学生は【女の子】ではなかった。


「へ? 俺は女の子じゃないっスよ?」


 キョトンとした顔で言うその声を聞いて、相手が男子学生だと分かった理事長。

 何を思ったかツカツカと歩み寄り、自分より長身の学生を見上げた。


「あら、女の子じゃなかったの? ……あなた可愛い顔してるじゃない」


 理事長は、そう言い残して立ち去ったという。

 まるで漫画かラノベのキャラクターのようなネタ理事長であった。

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