第3話 正式にこの世界の住民になりましたわ!
「ここがこの国のギルドですのね。結構大きな建物ですわ!」
そんなこんなで
「どうして私はギルドに行かなければならないんですの?」
『それはね、今のソフィアには身分がないからさ!今のソフィアがこの世界でどんな存在か考えてみて』
「どんな存在かですの?そうですわね、まず王様に勇者として召喚されて、ですがその王様や私が召喚されたと知っている者たちの記憶は抹消されてて……私のことを知っている者は誰もいない……まずいですわ!私はこの世界において何なんですの!私は誰?状態ですわ!!!」
『その通り!だからこそ、ギルドに向かっているのさ。ソフィアにはこれから、正式にこの世界の住民になってもらうつもりなんだ!』
……そう、私がギルドに来た理由は、この世界での身分証を作るためなんですの!私は自分の目的を再度確認し、ギルドの扉を開けましたわ!
「おお、やっぱりすごく広いですの!」
ギルドの中は想像通り、とても広かったですわ。それもそのはずですわ、ギルドには複数の機関が存在していて、その全て機関がこのギルド内で活動しているためですわ。
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『生活管理課』
身分証の発行や、税の徴収などを行う機関。
生活に関する問題事については、基本的にこの生活管理課が対応する。
『自警団』
街の治安維持を担う機関。
騎士団とは異なり、ギルド直轄の機関である。
有事の際には、民の避難誘導なども行う。
『冒険者ギルド』
冒険者の管理を行う機関。
冒険者に対する依頼の委託や素材の買取なども行っている。
『商人ギルド』
商人の管理を行う機関。
商人に対する依頼の委託や製作物の買取なども行っている。
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ギルド内には、この四つの機関がありますわ。私が今回用があるのは、『生活管理課』ですわ。早速『生活管理課』の窓口に向かいますわよ!
「こんにちは、『生活管理課』へようこそ!今回はどのような御用件で?」
『生活管理課』の窓口につくと、綺麗な受付嬢さんが対応してくれましたの。私はお優雅に手続きを済ませるために、簡潔に目的を伝えましたの。
「この世界での身分をもらいに来ましたの!」
「えっと……身分証の発行でよろしいですか?」
あれ?なんだかお姉さんが困惑していますわ。【お優雅】さんに聞くしかありませんわね。
『【お優雅】さん、何故お姉さんは困惑していらっしゃるのでしょうか?』
『それはねソフィア、いきなり身分をもらいに来たなんて言われたら誰でもびっくりするものさ!』
『でも、ここは身分が欲しい人が来る場所ではないんですの?』
『はは、間違ってはいないけどね。でも、ソフィアのそういうところが僕は好きなんだ!ほら、ソフィアがずっと黙っているからお姉さんが困っているよ、僕との会話はここらで打ち止めにして、現実に戻ってあげるのさ!』
頭の中での【お優雅】さんとの会話を終え、意識を現実に戻すと、目の前でお姉さんがあたふたしていらっしゃったんですの。とても申し訳ないことをしてしまったと反省しましたわ。
「そうですわ、身分証をもらいに来たのですわ!」
「かしこまりました、では、この水晶に触れてもらってもよろしいでしょうか?」
『また水晶ですの?』と言ってしまいそうになりましたが、私は言われた通りに水晶に触れましたの。
「はい、身分証の発行が完了しました!もう水晶から手を放して頂いて大丈夫ですよ!えーと、ソフィア・ユグレシアさんですね!これでソフィアさんもギルド会員です!そしてこちらが身分証になります!」
「ありがとうですわ!ところで、ギルド会員とは何なのですの?」
「ギルド会員とは、ギルドで身分証を発行した人の通称です!ギルド会員になることで、ギルド内の四つの機関のサービスを全面的に利用することが可能になります!」
「なるほどですわ!色々とご教授してくださってありがとうですわ!」
私は『生活管理課』を後にしましたわ。そして、手に持ったままの身分証を掲げて心の中で叫びましたわ!
『正式にこの世界の住民になりましたわ!これでやっと念願のお優雅ライフをおくることができますわ!』
すると、【お優雅】さんが私に語りかけて来ましたわ。
『ソフィア、喜んでいるところ本当に申し訳ないんだけど、ギルドでまだやってほしいことがあるんだ!』
『なんですの、身分証さえあれば大丈夫ではないんですの?私は早くお優雅ライフのために行動したいですわ!』
『ソフィア、そのお優雅ライフのためにはお金が必要なのさ!お金がないと自給自足の生活にまっしぐらさ!そんな生活、ソフィアにとってお優雅ライフと言えるのかい?』
『ぐっ……分かりましたわ。私は何をすればよいのですの?』
『そうだね、冒険者と商人の登録をしてほしいかな。そうすれば、お優雅ライフのための元手を稼げるからね!』
『分かりましたわ!爆速で登録を済ませてきますわ!』
いち早くお優雅ライフをおくるために、私は冒険者と商人の登録を瞬時に済ませましたわ。そして、ギルドを出た後、受付嬢のお姉さんに聞いたおすすめの宿屋に向かいましたの。
宿屋につくと、看板娘の女の子が出迎えてくれましたわ。宿屋代は夕食付で5000ユウガでしたので、おじさんのお店で使用した10000ユウガを引くと、私の残金は85000ユウガになりましたわ。このままだといつか宿無しの無一文になってしまいますので、早速明日から働き始めることに決めましたわ!ですが、そんなことよりも私お腹がペコペコですわ!
私は看板娘の女の子に食堂まで案内してもらい、異世界での初めての食事を堪能しましたわ!
──
マロモカです!
この世界のギルドは言うならば、市役所であり警察であり税務署でありハローワークのようなものです。
身分証=戸籍のような感じですが、色々な理由から身分証を発行しない人がこの世界には結構います。
なので、ソフィアのようなお客様が来たとしても、受付嬢はあまり気に留めることはありません。
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