第2話 ユニークスキルの中の人って何ですの!?
そして
それに気がついたときは、とても焦りましたわ。しかし、ポケットに何かが入っていることに気がつき取り出してみたところ、なんと貨幣らしきものが入っていたのですわ!
理由を考えていましたが、一つ思い当たる節がありましたの。それは、【お優雅】の効果によって分け与えられたお金ですわ。私は今【ノンユウガ帝国】にいますので、もしかしたら【ノンユウガ帝国】の民として判定されたのかもしれませんわ。
ですが、まだこの貨幣らしきものが本物の貨幣であるのかも、価値がどれ程のものなのかも分かりませんわ。ですので、私は王都の街で聞き込みをすることにしたのですわ。
私がとある商店の前を横切ったとき、中から声をかけられましたわ。その声の主は感じの良さそうなおじさんで、私を異国の旅人と思い、声をかけたようでしたわ。このおじさんなら嘘を吹き込まれる心配はないと考えた私は、自分の持っている貨幣について聞きましたの。
どうやら、この貨幣はこの国以外にも流通している信用のある貨幣だそうですわ。そして、私の持っているプラチナでできた貨幣は『10000ユウガ硬貨』と呼ぶらしく、同じ種類の貨幣の中では最も価値が高いとのことですわ。
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プラチナ硬貨『10000ユウガ硬貨』
大金硬貨『5000ユウガ硬貨』
金硬貨『1000ユウガ硬貨』
大銀硬貨『500ユウガ硬貨』
銀硬貨『100ユウガ硬貨』
大銅硬貨『50ユウガ硬貨』
銅硬貨『10ユウガ硬貨』
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硬貨の価値はこのように決まっているようでしたわ。今回の一件で、『10000ユウガ硬貨』を十枚、私を含めた全ての民が受け取ったというわけですわ。どれだけあの王様が財を蓄えていたのかが丸わかりで、呆れてしまいましたわ。
おじさんに聞くと、家の中にいきなり『10000ユウガ硬貨』が十枚置かれていたと王都内で騒ぎになっているとのことでしたわ。この金額は王都内で働いた場合の一ヶ月分のお給料にあたるようで、商売人は好機と見て集客に精を出しているとのことですわ。
おじさんから色々と有益な情報を聞くことができたので、私はささやかなお礼の気持ちに、おじさんのお店で売られていた青い蝶の髪飾とネックレスを購入しましたの。
そして、最後におじさんに魔王について聞いてみたところ、魔王軍が攻めてきているというのは嘘だったのでしたわ。逆に、【ノンユウガ帝国】側が魔王領にちょっかいを出しているとのことでしたわ。もう呆れを通り越して、何も思いませんでしたわ。
おじさんのお店を出たあと、私は再び街を散策することにしましたの。何故なら、私はこの世界について何も知らないためですわ。ですが、どこに行けばよいのか分からず、先程から同じ場所をウロウロしている不審者になってしまっていますわ。
「こんなの全くお優雅ではありませんわ!」
そう心で叫んだところ、お約束のあれが発動しましたわ。
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◆ユニークスキル:【お優雅】を発動します。
◆対象:ソフィア・ユグレシア
【一時的にユニークスキルの中の人と会話できるようになります。】
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浮かんできた文字を見ても、全く意味が分かりませんわ。
ユニークスキルの中の人と会話ができるんですの?
そもそもユニークスキルの中の人って何ですの?
様々な疑問が浮かんで、頭がパンクしそうですわ。
そんなときに、ユニークスキルの中の人が私の頭の中に直接語りかけてきたのですわ!
『初めまして、ソフィア・ユグレシアさん。僕はユニークスキル:【お優雅】の中の人だよ!ずっと君を見ていたよ、前の世界からずっとね!勘違いされたくないから言うけど、一応僕は女の子だから安心してね!』
急に頭の中に語りかけられたこと、本当にユニークスキルの中の人がいたこと、ずっと見られていたことなど、様々な情報を一気に与えられてしまい、街の中であるのにも関わらずつい叫んでしまいましたわ。
「なんなんですのあなたは!!!」
急に叫んでしまったため、周りからの視線を集めてしまいましたわ。ユニークスキルの中の人への問い詰めは後回しにして、とりあえず人目の無い所へ移動しましたの。
「あなた先程私のことを前の世界からずっと見ていたとおっしゃいましたね!それはどういうことですの?」
『言葉通りの意味さ。僕は君のことを前の世界からずっと見守っていたってことだね!』
そんなのストーカーですわ!
「ということは、貴方が私をこの世界に転移させたのですの?」
『そうだよ、その通りさ!君をあのまま放置していたら、君は死ぬまで牢獄暮らしをする羽目になっていたからね。僕は生き生きとしている君が大好きなんだよ!だから、君のことを誰も知らないこの世界に転移させたのさ!』
やっぱり牢獄暮らしが待っていたんですのね……そんなの暇死にしてしまいますわ。
「どうして私だったんですの?わざわざ自分のいる世界とは別の世界にいる私じゃなくても、もっと魅力的な方はこの世界にもいるのではないんですの?」
『あぁ~それはね、長くて真っ黒な黒髪に、大人びていて妖艶なその姿!そして、さっきの王様に対する態度!まさしく本物の悪役令嬢!はぁ〜、最高!君以上に僕の求める悪役令嬢像に当てはまる人間はこの世界にはいないんだよね!』
「誰が悪役ですの!というか、悪役令嬢ってなんですの?」
『悪役令嬢というのはね、一言で言うならば、自分の信念のためなら誰がなんと言おうと絶対に曲げないような、そんな芯の強い令嬢のことだね!でも、他者から見ると我儘でやりたい放題しているように見えるから、悪役なんて呼ばれ方をしちゃうんだけどね』
なんとなくですが、私にピッタリの言葉のような気がしてきましたわ。
「分かりましたわ、貴方が私のことを大好きなのは十分伝わりましたわ。それで、貴方は何をお話に来たんですの?」
『ああ、そうだったね!君とのおしゃべりが楽しくてつい忘れてたよ!そう言えば、君のことはなんて呼んだらいいかな?』
「ソフィアでもユグレシアでも好きに呼んでもらっていいですわ」
『じゃあソフィアで。今回僕が君と話せるようにした理由は、ソフィアのこれからの生活をお優雅にするためなのさ!ソフィアにはこの後すぐにこの国のギルド向かってもらい、会員登録をしてほしいんだ!』
「ギルドですの?それは何故ですの?」
『まあ、理由はギルドに向かいながら話すよ。あと、ソフィアが頭に言葉を思い浮かべるだけで僕には通じるから、わざわざソフィアが話す必要はないよ!』
「……それを先に言ってほしかったですわ!!!」
そして、私はこのユニークスキルの中の人と共に、ギルドに向かうことにしたんですの。
──
マロモカです!
ソフィアが悪役令嬢っぽくないと思われたと思いますが、この小説内での悪役令嬢という概念は少しだけ特殊なんですよね。
《ソフィア→好きなことを好きなようにやりますわ!でも、誰かの迷惑にはならないように気をつけますわ!》
《前の世界の周り→俺(私)たちの輝かしい人生に泥を塗りやがって!お前は俺(私)たちにとっての悪役(令嬢)だ!》
《中の人→周りからどう思われようと自分の信念を貫き通す、これこそまさに真の悪役令嬢!》
こんな感じです!
端的に言うと、無自覚で悪役ムーブをしてしまっていた令嬢、略して【悪役令嬢】!!!
そんな訳で、悪役令嬢だけど悪役令嬢っぽくないソフィアさんでした。
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