破滅エンドを迎えた悪役令嬢の異世界お優雅生活! 〜前の世界でやりたい放題していた悪役令嬢は、異世界ではお優雅に暮らしたいそうです〜

マロモカ

第1話 異世界に転移しましたわ!

 

 わたくしの名前はソフィア・ユグレシア。こう見えてまだ16歳ですのよ。


 ユグレシア公爵家の長女として生を受け、力と権力の限りを尽くしてそれはそれは色々なことをしましたわ!ドラゴンを手なづけて王都の上空を飛び回ったり、騎士団にカチコミをかけて騎士団長諸共ボコボコにしてやったこともありましたわ!まあ、そのせいで周囲からは災厄の公爵令嬢と呼ばれていたのですわ……


 そんな私は、先程【ソフィア・ユグレシア絶許同盟】との戦いに敗れ、大魔法が直撃したことにより気絶していたはずなのですが、どうして私は王城のような場所にいるんですの?そのようなことを考えていると、声が聞こえてきましたわ。


「よくぞ参ってくれた、勇者よ。お主は【勇者召喚の儀】によって選ばれた、栄誉あるものである。そしてこの余こそ、この国【ノンユウガ帝国】の王であるぞ!存分に崇め給え!ガハハハ!!!」などと宣っている声の主は、どうやらどこかの国の王様のようでしたわ。


 そして、目の前にいる気品もお優雅さの欠片すらもないまるで豚のような王様曰く、【勇者召喚の儀】というものが行われ、私は勇者として召喚されたようでしたわ。 しかし、【ノンユウガ帝国】なんて国、聞いたことがありませんわね。



 まあ、ここがどこかだなんて考えても埒が明きませんわ、 それよりもこの国【ノンユウガ帝国】は公爵令嬢の私でも知らないような国、そして、私の顔を見ても誰一人として騒ぎ出していないご様子ですわ。


 これはチャンスですわ!この国でなら、今までできなかったお優雅な暮らしができるかもしれませんわ!!!


 私の気分は今とても晴れやかですわ。今まで災厄の令嬢として傍若無人の限りを尽くしていましたので、お優雅な暮らしというものに強い憧れを抱いていましたのですわ。そしてついに、そのお優雅な暮らしを手に入れることができるかもしれないのですわ!


 ですが、最高の気分である私に水を差す愚かな豚がおりましたわ。


 その豚改め王様曰く、召喚された勇者にはユニークスキルが授与されるとのことでしたわ。私は「早くお優雅ライフをおくりたいので、面倒くさいですわ!」と言って王城を飛び出しい気持ちを抑え、指定された水晶に触れましたわ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ◆ユニークスキル:【お優雅ゆうが】を手に入れました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 水晶に触れた瞬間、目の前に何か文字浮かんできましたわ。初めての体験に驚きましたが、王様がその文字をタップしてみろとおっしゃるのでタップしてみましたわ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ユニークスキル:【お優雅】


 スキル所持者がお優雅ではないと強く思ったときに、その状況がお優雅になるような何かが起こる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 なんと素晴らしいユニークスキルなんですの!この際何で文字が浮かび上がっているのかやユニークスキルとは何なのかなどどうでもいいですわ!これはきっと、このユニークスキル:【お優雅】を使って、今までできなかったお優雅ライフをおくりなさいという神様からのお導きですわ!


 王様がどんなユニークスキルだったのかをしつこく聞いてきましたので教えて差し上げたら、あろうことか「なんじゃ、そのユニークスキルは?ゴミではないか!」などと宣いやがりましたので、少し締めてやろうかとも思いましたが、私のお優雅ライフのために我慢しましたわ。



 その後、王様が色々と私に話を聞かせてきましたわ。そして、この世界が私の知る世界ではなく、異世界であることが分かりましたわ。

 つくづく私は運が良いですわ!異世界ということは、私を知る人間が一人もいないということですわ!前のイメージに縛られることなく、存分にお優雅に振る舞うことができますわ!


 そして話を続ける王様曰く、勇者には魔王を討伐してほしいとのことでしたわ。魔王は、この国を支配しようと目論んでいるようでして、今のところは侵略を阻止できているようですが、戦況は劣勢のようですわ。


 私のお優雅ライフに魔王などという強大な敵はいりませんので、丁重にお断りしたかったのですが、王様は続けて説得してきましたわ。


 どうやら、魔王軍の侵攻によって領土を奪われた民までいるようで、このままでは王都に民が溢れ、民が飢えてしまう可能性があるようでしたわ。「その割には、貴方がた王族は豪勢な暮らしぶりをしているようですわね。」と言いたくなりましたが、王族を敵に回すと私のお優雅ライフに支障がでる可能性があるため、再び我慢しましたわ。



 まとめると、『魔王によって国が支配されてしまいそうだから助けてほしい。今も民たちは領土を奪われ苦しんでいる。だから、勇者に魔王を倒してほしい。』ということでしたわ。

 確かに、この言葉だけを聞いたら助けてあげないこともないなと思いましたわ。ですが、こんな危機的状況にも関わらず、目の前にいる王族たちはきらびやかな装飾の服やアクセサリーをこれ見よがしに身に纏っているのですわ。これらの品を他国に売るなりすれば、少しは民の苦しみを軽減することができると思いましたわ。それに、あの王様は気に食わないですわ!


 それで、とうとう私の我慢の限界が来てしまい、私は言ってやりましたわ!「あなたたちは全くお優雅ではありませんわ!」と。すると、目の前に先程の文字が浮かんできたのですわ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ◆ユニークスキル:【お優雅】を発動します。


 ◆対象:【ノンユウガ帝国】の全ての民


【ノンユウガ帝国の王族が所有する余剰な財を全て換金し、王族を除く全ての民に均一に分け与えます。】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 なんと、ユニークスキル:【お優雅】が発動したのですわ。そして、先程まで豪華な飾り付けをされていた王座の間の装飾は消えてなくなり、目の前にいる王族たちの服も質素なもの変わっていたのですわ!


 王族たちは何が起こったのか理解できずに、焦り散らかしているご様子でしたわ。かくいう私も、どうしてこうなったのか分かりませんでしたわ。ですが、先程現れた文字を見返して、理解しましたわ。


「あっ、私のせいでしたわ。」


 どうやら、私が王族に対してお優雅ではないと思ってしまったせいで、私のユニークスキル:【お優雅】が発動してしまい、王族の財を勝手に売っぱらい、そのお金を勝手に民にばら撒いたようでしたわ。ですが私は思いましたわ、「なんとお優雅な解決方法なんですの!」と。



 私は残った問題である魔王軍をどうするかについて考えていましたわ。すると、王様が「これをやったのは貴様か?」と問いかけてきましたの。ですから、私はこう答えてやりましたわ、「とてもお優雅に解決させて頂きましたわ!」と。


 すると、王様は激怒し、周りに控えていた騎士たちに私を処刑するように命じましたわ。私は再び、「こんなの全くお優雅じゃありませんわ!」と叫ぶと、案の定ユニークスキル:【お優雅】が発動しましたわ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ◆ユニークスキル:【お優雅】を発動します。


 ◆対象:ソフィア・ユグレシア


【ソフィア・ユグレシアを、王座の間から王都内の人目の無い場所に転移させます。】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 しかし、今回はもう一つ文字が浮かんできましたわ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ◆ユニークスキル:【お優雅】を発動します。


 ◆対象:王座の間にいるソフィア・ユグレシア以外の人物


【ソフィア・ユグレシアについての記憶を全て抹消します。この際、ソフィア・ユグレシアが起こした事象についてはそのまま維持されます。】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そして、私は王都内の人目の無い路地裏に転移しましたわ。どうやら、ユニークスキル:【お優雅】の効果で、あの場にいた者たちの記憶から私の存在は抹消されているようでしたわ。私は叫んでしまいましたわ。


「【お優雅】最高ですわ!王族にあんなことをしてしまって、もう私はお優雅ライフをおくることができないと内心諦めておりましたの。ですが、王族のとの諍いはなかったことになり、私はこのユニークスキル:【お優雅】を手に入れましたわ!これはもう、この異世界でお優雅ライフをおくる以外の選択肢なんてありませんわ!」


 私は心に誓いましたわ!


「この世界で絶対にお優雅な暮らしをしてやりますわ!」と。



──


初めまして、マロモカです!


カクヨムコンテスト、とても盛り上がっていますね!


本作品は異世界ライフ部門で参加しています!


よろしければ、作品のフォロー、そして★の評価を頂けるととても嬉しいです!


何卒、よろしくお願い致します!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る