義理の思い出に汚されて
七芽たそ
第1話 夢かと思ったらなんだこれ
これは12月の初旬。
何も考えず窓の外を見て、アニメキャラにでもなったかのように黄昏れる僕に起こった
始まりの思い出。
夢にまでみた高校生活は理想・妄想とは違い、呆れながらもか微かに希望を持っていた
高校3年の冬。
受験だっていうのに現実を遠ざけ、人に言われるがまま動く人間を見下す。
そんな僕。
普通といえば普通で、特殊といえば誰だって特殊などこかにいる一般人の僕、その人生。
青春っていう青春は乗りこなしたかのように感じるもののそれ以上を夢見て、
画面の向こうの青春を待ち焦がれる。
キモいというやつもいるだろう。
まあ人それぞれに価値観があって感じるものが違うんだからしょうがない。
ー え?達観してるように見える?
そりゃあ誰よりも大人な高校生だと自覚しているからね。
ー 痛いやつ?
黙れよ。人の人生感に口出しするな。
流れに乗って授業を受ける。
「おい@fめn、ここ読め」
全くしらない人間に「どこをやってんの」
そう聞く。
心優しく教えてくれる女子。
そんな優しくしないで、どんな顔すればいいの。
「古池や~流れに流され法隆寺」
「お前、何いってんだ?」
いや読めって言ったとこ読んでんだよ。
「え?ここ読んでって」
「多分ページが違うし、川柳にしてもアホみたいな詩だなあ。もういい。後ろー」
後ろのどうやら僕を騙したらしい女子が起立する。
「古池や~詐欺師に騙され法隆寺~」
くすくす笑う声が教室に響く。
って自分を詐欺師呼ばわりってどうなんだよ。
しょうもない人生送ってんだろうなあ。
ていうか「もういい」ってなんだよ。
そんなのあまりに◯ケモンが可哀想だろ。
古典の授業ってなんでこんなつまらないんだろう。
というかなんでこんな眠くなるんだろうか。
聞きたくない教師の声。
回し手紙するやつら。
流行りの曲を鼻歌で奏でるうるさい人間。
空白のノート。
使い古された消しゴム。
中庭菜園のジョウロ。
地面は砂のようだ。
砂浜ってより、砂?
なんて言えばいいものか。
歩くことが可能な海底っていうか。
あれ?こんな語彙力ない馬鹿だったっけ僕って。
まあ呼吸はできるんだよな。
当たり前だけど。
木も生えている。
特別違和感があるとすれば僕の存在理由って。
頭を悩ませ考えてもそんなの解決しないよな。
人生って意味があって意味のないものなんだから。
哲学みたいに「私の生まれた理由はなんなのだろう?」
とか言われてもそんなの子孫繁栄のためとしか言えないし、お前である必要はない。
だけどお前の人生なんだから自由に生きろ。
そういうことなんだろう。
歩いてみても落ちているのはゴミの破片といったところか。
教室で授業を受けている夢を見た。
恥ずかしい夢だったのかもしれない。
整地されているのか?これは。
僕としては夢だと信じたい。
もはや自分がなにを思って何をいっているのかもわからん。
アニメみたいな光景が夢なのか今生きているのが夢なのか。
転生して人の人生を見ているのか。
うん。それはないな。
義理の思い出に汚されて 七芽たそ @nanametaso
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