第22話 逃亡


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 とある雑居ビルにて・・・




色眼鏡の男「それで・・・・急に金が出来たから返しに来たって?・・・・」




ハネダ「ええ・・・・まぁ・・・そんな感じです。」




 アトリエから逃げ出したハネダは、翌朝私達が居る場所からかなり離れた街の消費者金融にいました。




 怪しげな男と話していました。




色眼鏡の男「まぁ・・・・どこで手に入れた物か分からなくても・・・こちらとしては関係ないんでね・・・・。・・・納めときますよこれは。」




 色眼鏡の男は、ハネダが持っていた札束を受け取りました。





男「まぁこれで、完済ですね。・・・・よかったらお茶でも飲んで行って下さいよ。おいシバ、この人になんか用意せぇ。」





 後ろに立っていたパーマの男が反応します。




パーマの男(シバ)「はい。」



 ここで、色眼鏡の男の携帯電話が鳴りました。




ハネダ「・・・・・・・・・・・」





色眼鏡の男「おっと、失礼・・・・・・。」







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 席を立ち、色眼鏡の男は奥の事務所へ行きました。




色眼鏡の男「はい、・・・・・もしもし・・・」





男「よぉ。・・・景気はどうだ?・・・」





 少しだけ笑う色眼鏡の男。





色眼鏡の男「最近はあんま良い話ないですよ。というか誰かと思ったら・・・・久しぶりですね、ハイバラさん。」



 なんと電話の主はハイバラでした。



ハイバラ「・・・・そういえば・・・・ハネダ・・・・っていう叔父貴んとこの組に居る小僧がお前んとこから金借りてんだろ。」




色眼鏡の男「・・・ええ、でしたね。よくご存じで。でも返済は終わりました。今返しに来たんですわ。」



ハイバラ「・・・・ん?・・・何?・・・」




色眼鏡の男「ええ、ですから・・・今、事務所に来てます。何かありましたか??叔父貴んとこの若い衆がどうかしたんですか??」



 ハイバラの声色が変わります。



ハイバラ「逃がすな!!そいつを逃がすなよ!!そっちにイツキが向かってる!!絶対に逃がすんじゃねぇぞ!!」



色眼鏡の男「・・・は・・・はい・・・・・」



 元の部屋に戻ります。




 しかし、そこにはハネダの姿はありませんでした。




色眼鏡の男「おいシバ・・・・ハネダどこ行った??」




シバ「今トイレ行ってます。」




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 首を傾げながら入り口側にあるトイレの扉を開けます。




 トイレの窓ガラスが割れており、ハネダの血がガラスにかかっていました。狭いこの小さな窓から無理矢理出たのでしょう。



色眼鏡の男「おいおい・・・ここ3階だぞ・・・・・。シバ!追いかけろ!」




シバ「は、はいっ!!!!」




 窓ガラスから外を覗きます。かなり窮屈だったようで、おびただしい量の血液がそこら中に飛び散っていました。パイプを伝って地上まで行ったようでした。



色眼鏡の男「あのデブに窓ガラス代請求したろうかな。・・・・・・というか何があったんだ。イツキが動いてるってことはタダ事じゃなさそうだな・・・・・・。でもまぁ・・・・よく考えたら俺には関係ないか。・・・ははは、ハイバラ勢が勝手に盛り上がってるだけだ。金は返って来たんだし問題無しだ。」




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イツキ「おいコラ・・・・・何が関係ないんだ??・・・」



 後ろを振り向くと無表情のイツキが指をボキボキ鳴らして立っていました。



色眼鏡の男「な・・・・・イツキ!!」




イツキ「・・・誰のおかげで商売出来てると思ってんだてめぇは。」



色眼鏡の男「別に何も言ってねぇだろ!!」



イツキ「何が俺達には関係ないか言ってみろこのサマ野郎!!!」



 怒りの拳が、かけていた色眼鏡を吹き飛ばしました。



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 はー・・・はー・・・・・





 血だらけのお腹を押さえて路地裏を走っているハネダの姿がありました。見るからにかなり深い傷です。




ハネダ「・・・ノベタン・・・ハク・・・ごめん・・・・・。俺はなんてことを・・・・・してしまったんだろう・・・・。ペンさん・・・・・はー・・・はー・・・・。」



 ハネダはやばい所から借金をしていたのです。所謂高利貸しという部類の金融屋です。ギャンブルで借金が嵩んでしまい、この会社から借りていました。



 辺見から預かったお金を借金の返済にあてるべく、遠路はるばるやってきたのです。




 ハネダは後悔をしていました。何年来の友を完全に裏切ってしまいました・・・。恐怖からくる極限状態で、まともな考え方が出来なくなっていたのでした。どうしても逃げ出したくなったのです。



 そんな危ない所に行けば、ハイバラやイツキ達と繋がっている可能性は高いのです。なのに自分の未来の為に、逃げ切った後の未来の為に、自分の肩に乗っかっている重荷を先ず卸す事を優先してしまったのです。


 ハクとノブハラはアトリエに隠れていた時から、散々軽率な行動をとらないようにお互いに注意喚起をしていました。



 なのに、なのになのです。



 大金を見てしまったからでしょうか、青年達にとって社会というものは恐ろしいものでした。



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ハク「・・・ハネダ・・・・無事かなぁ・・・・。無事だといいけど・・・。」



ノブハラ「・・・どうだろうな・・・。元気だといいけど・・・・」

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