014 これをチートと呼ばずしてなんという
翌日、さっそく第一層に来てみたんだけど……明らかにやばいね……
ステータスの数字が、これほど顕著に現れるとは思わなかった。
だって、スライムが止まって見えるんだよね。
たぶんレベルっていうより、任意ポイントのせいだと思う。
まさか体力向上させただけで、全体の身体能力がここまで上がるとは思ってもみなかった。
しかも動体視力も向上している。
もしかすると、思考速度も上がっているかも。
こればっかりは要検証だな。
ただ、レベルが下がったおかげでスキルが無いから、この先厳しくなるのは目に見えてる。
どうしたものかな。
それと朝に受付で聞いた話だと、僕自身のレベルが上がらないと
スキルを取るか、レベルを取るか……
今の段階だと完全にトレードオフの関係に見える。
うん、悩みどころだな。
しかもずっとレベルが上がっていなかったら、絶対に怪しまれる事この上ない。
まずはこのまま進んでみたほうが良いかもしれないな。
第二層に来てみたものの、瞬殺しかできなかった。
スライムもゴブリンも、ステータスのおかげで雑魚に成り下がってしまったみたいだ。
何だが全能感が半端ないね。
だめだだめだ。
こんな気持ちだとこの先すぐに命を落とすことになる。
気を引き締めていかないと。
そして、第二層も問題なく攻略を進めることが出来た。
順調に苦戦することなくスライム5匹とゴブリン5匹を倒した。
その間にレベルも1上がったみたいだ
ーーーーーーーーーー
ステータス
レベル :5(1UP)
EXP : 8/ 16
HP :100/104(1UP)
SP : 10/ 14(1UP)
体力 :64(1UP)(+5)
力 :54(1UP)(+1)
知力 :15
精神力 :14(1UP)
魅力 : 5
幸運 :20
任意ステータス振り分けポイント残:10
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それにしても自動振り分けのステータスポイントは、どういう計算式で数値が増えているのかはわからない。
おそらく僕の行動履歴が基準となっているんだろうけど。
これ絶対脳筋になる道筋しか見えないんだけど……
だ、大丈夫、僕にはステータス振り分けポイントという味方があるから。
こうして振り分けポイントがものすごくおいしいのは身を持て理解する事ができた。
よし、このまま第三層に行ってみよう。
確かハンティングウルフが3匹だったと思うから、だめだったらすぐに撤退に移ろう。
それから僕は、第三層に続く階段をゆっくり降りていく。
気付かれないようにと慎重に体を乗り出し、あたりを警戒してみた。
うん、ハンティングウルフの姿がなかった。
おそらくここも講習で使っているからか、数は少ないみたいだった。
第三層に降りてからしばらく歩いていると、前方にハンティングウルフの姿が見えた。
僕はどうにか足音を消して近づいたけど、気付かれてしまった。
鼻をぴくぴくさせていたから、音というより匂いでバレたみたいだ。
ハンティングウルフは大きな鳴き声とともに、あたりにいた仲間を引き寄せる。
さすがにスキル無いと厳しいな。
それにハンティングウルフの仲間がこれ以上多くなると僕では対処しきれない。
速攻で片付けなくてはならなくなったな。
焦る僕をよそに、ダンジョンの奥からハンティングウルフが近づいてきた。
ハンティングウルフの数は3。
僕とハンティングウルフは互いを見やり、互いの出方を伺っていた。
さすがにこれ以上動かないと、更なる増援を呼ばれてしまうかもしれない。
剣と盾を握る手に、汗がジワリと滲んできているのがよくわかる。
今すぐのこの手をふきたい衝動にかられそうになる。
ふぅっと息を吐いた僕は、思い切って前方のハンティングウルフAに切りかかった。
僕が思っていたよりも移動速度が速く、Aが攻撃に移る前には縦に切り裂くことができた。
どうやらB・Cは若干反応が遅れたらしく、Aが倒れた後から行動を開始した。
戦術なのか、二匹が僕の左右に分かれ攻撃仕掛けてきたのが見えた。
あれ?意外に対応できる?
ステータスの恩恵はやはり大きいみたいだ。
左右から連携で攻撃を仕掛けてくるハンティングウルフ。
左から来るBの攻撃をかわしながら、右からくるCを切り捨てる。
そのまま体を入れ替えながら飛び去ろうとしたBを斬りつけて戦闘終了。
周辺を確認しても姿が見えなかった。
どうやら3匹なら問題なく行けるみたいだった。
おっと、感想と反省は後にして、まずはドロップアイテムの回収。
僕はハンティングウルフが黒い靄になって消えていくのを見送ると、周囲に散らばっていたドロップアイテムを回収して歩いた。
と言ってもそれほど距離は離れていなかったけど。
見つかったのは魔石(極小)が2つと爪が1つだけだった。
というか、ハンティングウルフの爪って何に使うんだろ?
よくゲームとかにある装備品の作製とか?
考えても仕方がないので、外に出たら自衛官に聞いてみよう。
それとまたレベルが上がったみたいだ。
ーーーーーーーーーー
ステータス
レベル :6(1UP)
EXP : 6/ 32
HP :100/105(1UP)
SP : 10/ 15(1UP)
体力 :64(1UP)(+5)
力 :54(1UP)(+1)
知力 :15
精神力 :14
魅力 : 5
幸運 :21(1UP)
任意ステータス振り分けポイント残:20
ーーーーーーーーーー
必要経験値の上昇量がそれなりに増えてきたな。
この先どのくらい経験値が必要になるかわからないから、やっぱり階層を進めた方が良いのだろうか……悩む……
安全マージンとの兼ね合いもあるし、あまり無理は出来ない。
よし今日はここで引き上げて、ポイントの振り分けとスキルについて考えてみることにしよう。
ほんと、このスキルクリエイターは謎でしかないね。
強くなるためにはレベルを上げないといけない。
でも、スキルが育たない。
スキルを強くするために自分のレベルを犠牲にする。
ランクが上がらない……
悪循環というか負のスパイラル。
うん、どうしよう。
やめたやめた。
下手な考え休むに似たり。とりあえず地上に戻ろう。
トランスゲートを抜けると、その足で換金所へと向かった。
今回の戦果は魔石(極小)×7とスライムゼリー(青)が1つ。
あとはハンティングウルフの爪が2つだった。
ちなみに、腰布とこん棒と頭蓋骨は見なかったことにした。
念の為に換金所のスタッフに売却予定の素材について話を聞いた。
スライムゼリー(青)は薬師スキル持ちとかが薬の材料にするそうだ。
爪とかは武器防具を作成できるそうで、鍛冶スキルとか裁縫スキル持ちの職人が作成しているそうだ。
換金所で預かり証をもらって待合室でくつろいでいた。
しばらくすると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ、せんぱ~~~~~い。どうです調子は?」
やっぱり谷浦だった。
どうやら谷浦もちょうど帰還したところで、換金待ちだそうだ。
「今何層くらいで活動してるんですか?僕ら今やっと第五層まで行けたんですけどね。モンスターが強いのなんのって。たまに出てくるイレギュラーって呼ばれるモンスターが超強いんですよ?反則ですよあれ。危なくケガするところでしたからね。あ、終わったみたいなんで行きますね。」
1人しゃべるだけしゃべっていってしまった……騒がしいやつだよほんと。
でも、第五層か。
今の僕にも行けるだろうか。
パーティーで苦戦するんだから、僕はたぶん死んでしまうんじゃないか?
うん、まだやめよう。
命あっての物種だからね。
谷浦が去ってからしばらくすると、換金が終わったと知らせがあったので、換金所へ向かった。
そして手渡されたの金額は……
5100円
うん、これで生活するのカツカツじゃない?
講習会よりましだけど、さすがにこれはやばい。
装備は今のところ講習会のもらい物で何とかなってる。
だけど、この先のメンテとかを考えたらかなりやばい。
どうしたものかな。
やっぱり第5層を目指したほうがいいのかな?
せめてパーティーに入れれば何とかなるかもしれない。
そうだ、講習会の時のメンバーに声をかけてみるのも一つかもしれない。
そう思ってきょろきょろと見回すと、なんと運よく彼らを見つけた。
どうやら彼らもダンジョンの探索の帰りのようだった。
でも、僕は声をかけるのをやめた。
あの時のメンバーに追加が一人入っていたから。
うん、悲しくないよ?
僕はそのまま帰宅した。
なんか疲れたな……
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