第4話 格好いいタイムッ!

 妖精・蓮飛の軌跡は、くっきりと残っていた。駆ける度に、彼が施した悪戯の数々を目の当たりにする。


「悪戯って言うか、細やかな嫌がらせだね。今の所、一番酷いのが海里っぽいから良かったよ」

 走りながら飄々と言う刹に、「若!」と海里が呼び捨てのみで怒りをぶつけた。

「分かってる、良くないよね」

 刹は苦笑して謝ってから、「純」と左を走る純を肩越しに見据えた。


「止める方法は?」

「あと三時間待てば効果がなくなるよ」

「他は?」

「驚かせると解ける仕組みに出来たとは思うけれど、それが上手く出来ているかどうかは分からないよ」

「後者で行こう、期待は薄くてもね」

 悩む間もなく、刹はきっぱりと止める方針を決める。


「海里、純。手伝ってくれるね?」

「ああ」「勿論だよ!」

 刹は二人の力強い頷きにフフッと笑みを零してから、前を向いた。


「さぁ、ここからは妖精狩りの時間だよ」

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