第3話「お母さん」

夕方…。3時…。私は会社で昨日の事件を記事にまとめていたが…。上司に無理難題を押し付けられ…。お昼を食べずに仕事をしていた…。ああ…。お腹すいたァ…!!!

(あのクソ上司め…。)

そう思いながらもカタカタとパソコンに向かう。

「ねぇ。」

「ん?どうしたの?優しい死神さん。」

私は後ろから声が聞こえてきて振り返る。

「これがあなたの仕事なの?」

「はい!そうです。」

「ふーん…。ここ誤字ってるよ…。」

死神さんにパソコンの画面を指さされる。

そこから死神さんに指摘を貰いながら1つ1つのミスを直していた。

数分後…。

「まぁ…こんな感じですかね…。」

「おぉ!!!見違えるほど良い文章になりました!」

「でしょ?」

死神さんは少しニコ…とした。

私は時計を見て時間を確認するが…。

「あ!もうこんな時間!」

体感30分ぐらいだったのに!定時前!!!外を見る…。あ…。夕日がァ…。今日は早く上がろうとしてたのに…。

私が肩を落としている時に死神さんが話しかけてきた。

「どうした?ユウカ。そんな気を落として?」

「実は…。今日母親の病院に行こうかなっと思ってまして…。」

「あー…。なるほどな。今ならギリギリ間に合うんじゃないか?場所は?」

「松会病院です。」

「・・・・。そこか…。」

すると死神さんの顔が曇る。どうしたのかな?

「…。どうしました?」

私は死神さんに話しかける…。死神さんははっ!と自分の声にびっくりしたのか顔が元に戻る。

「すまん。考え事してた。松会病院か…。今からなら間に合うんじゃないか?」

「…。」

私は時計を見る…。全然間に合う…。

「行きますか!」

そう私は上司に書類を渡しタイマーカードを切って会社を後にする。

私達はバスで松会病院に向かう。私は移動時間が暇なため前まとめた書類見ていた。

すると死神さんの方が興味を示してきた。なんかとてもソワソワしているのがわかる。

「それなんだ?」

すると死神さんは私の持っていた書類に指を指す。

「あぁ。この書類は大スクープに慣れなかった書類たちです!」

「それはもう怪奇現象とか取り上げてる所にあげるべきでは…?新聞社ではウケもしなくない?」

「そうなんですかね…?」

「そうでしょ!ちょっと見せてください!」

すると死神さんは資料を無理やり奪ってきた。

「どれどれ・・・…。・・・・。」

すると死神さんはとあるページを開き止まった。私はそのページを見て説明する。

「あぁ。そのページですか?それはですね…。」

「まぁそれは…。」

次は松会病院前〜。次は松会病院前〜。

バス内のアナウンスがなる。

「着いたぞ。今はお前の要件が先だ。」

「あ!はい!」

私達はバスを降りた。

ここの病院は街の中…いや…。この県の中で1番大きな病院。

私たちは病院の中に入り、受付に話を通し病室に向かう。時間ギリギリだったが通してもらった。

~病室~

(この部屋は…。)

私は少しびっくりしたがそれを隠す。そしてユウカは大きな声で…。

「来たよー!お母さんー!」

「あら…。今日はもう来ないと思ったわよ〜。 」

(この人がユウカのお母さん…。・・・。寿命が…。多分今日中には…。)

私は気持ち悪くなってしまい…。

「済まないユウカ…。外の空気に当たってくる。」

「はいー。」

私はその部屋を後にする。

「どうしたんだい?ユウカ?そこに誰かいるのかい?」

するとお母さんは私の後ろをまじまじ見る。

「ううん…。居ないよォ!」

私は大きな声で言った。そりゃそうだもん…。死神がいるなんて言ったら腰抜かしちゃうよ…。

その時死神は2人の会話を扉越しに聞いていた。

(・・・。ふふ…。微笑ましい会話だな…。)

私はその会話を聞いたあと通路を歩く。

(…そう合えば…。さっきも通った道を辿れば…。あった…。)

私が向かっていたのは中庭だ…。人もそこそこいて子供が遊んでは老人達が談笑している。けど私は死神だから誰にも見られない。見れない…。お構いなしに真ん中にある二人座れるか怪しいベンチに向かい座る。

(このベンチ…。まだ残ってたのか…。)

あたりは夕日の明かりで暖かい色で照らされる。

するととある子供が座っている私に指を指す。

「なんかひといる!」

「何を言ってるの?帰るわよ。」

そう母親に宥められ、病室に向かう。

(・・・。)

するとそれを見ていたのか…。はたまた偶然なのかユウカが中庭に来ていた。

「あれ?ユウカじゃないか。どうした?」

「もうそろそろ終わりの時間なので…。」

「そうか…。早いな。」

「…。そう言えばここって…。」

ユウカは当たりを見渡しノートを開く。

「なんかあるのか?」

するとユウカはペラペラとノートを開きながら話をする。

「はい。死神さんがまじまじと見ていたページあるじゃないですか?」

「・・・。それがここなのか…。」

「あ…あった…。松会病院…。去年の話です。男子高校生がこのベンチで突然死をしたと…。確か右に座っていたそうです。」

「・・・。なんでそんな情報まで仕入れてるんだ?気持ち悪。」

「酷いですね!」

「てか…なんでこんな情報を集めたんだ?」

するとユウカは自慢げに話をする。

「実は事件を皮切りに連続自殺事件が始まったんです。勝手な想像ですが…。何か知っていますか?まさか悪い死神が…。」

「・・・。そうかもな。」

「…!!!どうしました!?急に疲れきった顔をして!」

「いや…。そんな話をユウカから聞くなんて思ってもなくてな…。すまん…。今日はもう帰ろう…。」

「あ…はい!」

私達は帰路に立つ。

私は夕日を見てふと思った…。

(夕日…。親と一緒に帰ったけなぁ…。こんな気持ちになるのは久しぶり…。お母さんの退院ももうそろそろだしなぁ…。今日は何を食べよう。)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る