ルシア師匠
今日はたまたま夜全員居るらしく、食堂にクラスの皆が居たので、食後にルシアの事を報告する。
前田先生も高名な人に才能があるから弟子入りを許されるというのは良いことであり、先生もルシアに魔法の勉強をしようと思っていることを話すと、クラスメイトはざわついた。
ただ俺が魔法の勉強をすればスキルポイントで取らなくてもスキルを習得することが可能だからレベルの低い人やスキルポイントの重さでスキルの習得を躊躇している人や近接の戦闘職でも魔法と言うサブウエポンがあった方が攻撃に幅が出るから良いと思うと説明する。
野村や佐々木、五十嵐に委員長の前園が確かにと納得すれば流れは傾いた。
1週間後は予定を空けておいて、全員でルシアに弟子入りのお願いをすること、俺達(オタク、中園さん、宮永さんのチーム)と前田先生は明日ルシアの泊まっている宿に行き、事情と弟子入りの話を進めてくることを約束するのだった。
あと前田先生が白米にするのは難しいが、玄米なら仕分けが終わったので後は米を炊いて食べれると言われたので明日の夕食は米をメインに台所を借りて豪炎寺と原村さんが料理を作ることに決まるのだった。
もちろん宿側の了承は得れたからできるので、普段は出来ないが、郷土料理の材料が手に入ったので士気に関わると言われたら冒険者ギルドと提携している宿の親父とかも駄目とは言えない。
ただ宿の親父のアルベートさんと女将のエイダさんが火回りは監督すると言われた。
夕飯が俄然楽しみになるのだった。
翌日、玄米を豪炎寺と原村さんに預けて、だいたい10時くらいにエルフの宿り木と言う宿に向かった。
その宿に到着すると確かにエルフの一家が宿を経営していた。
ルシアは耳が尖っている以外は正直エルフらしくない容姿(胸がデカかったり、髪の色がピンクだったり)をしているが、宿のエルフはオタク曰く異世界物やゲームでお馴染みの金髪にエメラルドグリーンの瞳、ぺったんこの胸に痩せ型で背が高いエルフばかりであった。
「ハイエルフのルシアさんに会いに来たのですが」
「ルシア様だろ竜人がぁ!!」
なんかエルフの店員にキレられたがルシアがやって来て
「やめないか馬鹿たれ……私は王族でも何でも無いんだから……お前達もルシアと呼べと言ってるだろうに」
「しかし……」
「そんなんだからこの宿に泊まるのがエルフばかりになるんだよ……全く……すまない。エルフの悪い面を見せてしまって」
「いえ……大変ですね」
「まったくだよ……店主、食堂借りるよ」
「はい! わかりました」
「全く……ささ、中に入って入って」
ルシアに案内されて食堂に移動し
「で、どうなった! 話は纏まったかい!」
「ええ、6日後に皆で一度挨拶したいのですが」
「じゃあその日は魔法ギルドに教室を借りよう。その小さいドラゴンの娘さんは昨日居なかったよね?」
「初めましてルシアさん、私は異世界で彼女達の教師をしていましたマエダと言います。一応メンバーの纏め役をしているので一度お話をしたいと思い、この場に立ち会わせて貰いました」
「硬い硬い、もっとラフで良いよ。ルシアって気軽に呼んでくれよ」
「いえ、我々は教わる立場ですので……それだったらルシア師匠と呼ばせてください」
「俺もその方が呼びやすいです。俺達の故郷では目上の人には礼を尽くせと言う言葉もありますので」
「わかった。師匠でも何でも言うが良いよ」
「ありがとうございます」
「ちなみに聞くが魔法はどうやって覚えた?」
その質問に俺が答える
「レベルアップするとスキルポイントというのが貰えてそれで覚えていきました」
「あー、勇者と同じ仕組みか……わかった。ならなおさら基礎から教えた方が良いな」
「お願いします。使い方は分かるけど仕組みを理解していない状態で魔法を使っていると私には不気味で」
「マエダは仕組みまで理解してから行動するタイプか……慎重だが、魔法使いは慎重の方が大成できる。私的には高評価だ」
と前田先生とルシア師匠が話していく。
「じゃあ全部の属性魔法の基礎から応用、実戦と組み上げていこう。皆冒険者なのだろう? 実戦的な魔法を使えれば戦力的にも強化に繋がるだろうし」
「ありがとうございます」
「せっかくだ私が旅してきた周辺の情勢や地理についても教えてやる。貴女達が有名になればそれだけ私の名声も上がるからな」
「ありがとうございます」
「なに、気にするな。私は教えたがりの年寄りなんだよ……一応聞いておくが元の異世界には帰りたいのか?」
「帰れたら帰りたいですが……」
「実際どうなのですか? 異世界転移はタブーと聞きましたが」
「異世界に物を送る方法はまだ解析できていない未知の分野であり、転生も魔王とかの敵対種族が知っているらしいと言うあやふやな情報しかない。しかも転生のスパンも再び転生するのに数百年かかることもあれば、魔法実験の事故で姿がまるっきり変わるのを一瞬で起こることもある……心苦しいが諦めた方が良いね」
「そうですか……」
「薄々気がついてはいたんだろ?」
「ええ、まぁ」
「しかし、断言された割には動揺が少ないな……精神が高い証拠だ。精神が低いとストレスに耐えきれなくて発狂することもあるからな」
「精神を重点的に鍛えましたので」
「正しい選択だ。マエダの判断は間違っていない」
「そうなるとこの世界に骨を埋める覚悟を持たなくてはなりませんな」
「貴女達のステータスなら大抵のモンスターには遅れを取らないだろう。それだけで普通の人よりは多く稼げて色々な選択肢が取れると思う。まぁ魔法をこれから教えるが、使い方は任せる」
「それぞれ考えて生きていくしかありませんからね……」
ルシア師匠と前田先生は教育者をしてきた者で何か通じる物があったのかもしれない。
とりあえず6日後にまた会おうと言われ、今日は俺以外のメンバーの冒険者カードでステータスを確認して解散となるのだった。
オタクはルシア師匠に習うと分かっていても魔道具の製造が楽しいからと魔法ギルドに行ってしまった。
宮永さんは絵を描きたいからと宿に戻り、前田先生も用事があるからと別れてしまった。
俺と中園さんだけになってしまったがせっかくだから散歩でもしようかとなり、成り行きでデートすることになった。
「私教会の中に行ってみたいな」
「よし、じゃあ行こうか」
というわけで教会に行ってみると教会ではシスターが聖書を朗読していた。
隣人を愛しなさいや子供を大切にしなさい、愛があれば良い、無駄を減らしましょうなーんて事が語られていた。
日本では当たり前の事が宗教の教本に記載されている当たり、過去は相当酷かったのだろう。
それから始まりの勇者と大魔王の激闘の物語が語られ、大陸を疫病で弱らせ、モンスターによる進撃で人口が激減し、それを勇者とその仲間が大魔王を討伐し、世界に平和が訪れ、その時のパーティーメンバーだった聖女がこの宗教を広めたと話された。
勇者の仲間は4人居たらしいが、残り3人は人類復興を手伝って亡くなっていったとされた。
そんな勇者の協力者にエルフやドワーフ、獣人が出てきていたため、彼らも人類として仲間意識が芽生えたと物語ではなっていた。
数千年も前の物語らしいがそれが形は変わっていると思うが引き継がれているのは正直凄いと思う。
教会を出て
「凄かったね! シスターさんもお話が上手かったし」
「聞き入ったわ……落語家とかに通じる話し方だわ……教会で人が集まるのがわかった気がするわ」
そのまま俺達は市場でハンバーガーを買って齧り付き、市場をぶらぶらと散策したり、中級市民の住むエリアに行ってこういう家に住みたいよねーとか家を建てるならこんな設備が欲しいなどの会話をするのだった。
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