畑の準備 素振り仲間
「ギータ爺さんまた来ましたよー」
翌日の10時ぐらいにギータ爺さんの家を訪ねた。
「おお、カネダさんじゃねぇか。下級市民にはなれたか?」
「バッチリ」
「ならこれが借用証明書になる。サインしてくれ」
「はーい」
俺は借用証明書にサインしていく。
書かれていたことは作物を育てる以外の用途では使わないこと、育てる作物も禁止されている薬物等の作物ではないこと等が書かれており、俺は書かれているような作物ではないことを確認して2枚の書類にサインをした。
「こっちが控えだ。大切に保管しておいてくれ」
「わかりました」
「ちなみに何を植えるんだ? 植え合わせが悪いと困るんだが」
「米と呼ばれる作物で、一応種籾がこんなのです」
俺は持ってきた種籾を見せる。
「ここらじゃ見ねえ作物の種だな」
「小麦のお化けみたいな感じと言えば近いかもしれません」
「まぁ多分大丈夫だろう」
俺は1年分の土地代200Gを支払った。
「肥料なんだが今日の午後届く予定だで……あと数時間で届くと思うから待つか?」
「あー、今日植えられるように種籾をもってきますので一旦帰りますよ」
「そうかそうか……昼食終わったくらいには届いていると思うからまた来な」
そう言われてギータ爺さんの家を出て、書類を宿の金庫に入れて、宿の裏庭で素振りや筋トレをしたり、前田先生がしている脱穀作業を手伝って時間を潰す。
というか先生……杵と臼で突いての玄米と籾殻に分離する作業をするんですね……原始的過ぎませんかねぇ……。
その後風呂場で魔法で出した冷水で汗を洗い流して、朝作っておいた麦茶を部屋で飲んでから、昼食を食べるために町に出掛ける。
「パスタでも食べるか……お! ここ美味しそうだな」
看板に3種類のパスタを出していると書かれているお店に入り、キノコとベーコンのパスタをいただく。
出されたのはキノコ入りペペロンチーノパスタで、唐辛子も青色をしていたのでペペロンチーノ擬きというのが正しいか。
味はペペロンチーノよりも辛みが少し強く、キノコの風味が鼻をダイレクトに突き抜ける感じがした。
これで2Gは安いなと思いながら、昼食も食べ終わったので宿から米俵から5キロくらい袋に入れてギータ爺さんの家に再び戻るのだった。
「おお、来た来た。届いたぞ」
ギータ爺さんの家の前に大きな樽が置かれていた。
「スライム肥料だ。こっちがカネダさんの肥料分になる」
酒樽くらいの大きさの樽を指さされ、蓋を取ると、中に茶色の液体が入っていた。
それをバケツに移してから畑に撒いていき、再びよく地面をよくかき混ぜてそれから種籾を撒いていき、土を被せて、水をかけていく。
「カネダさん、魔力本当に凄いな……これだけ魔法を使っても疲れねぇのか?」
「全然大丈夫です」
「そうかそうか! ちと悪いんだが儂の方の畑も水を撒いてくれねぇか」
「ええ、良いですよ」
俺はギータ爺さんの畑も水を撒いておいた。
ギータ爺さんは喜んでお礼として食事を出してくれた。
芋煮を食べさせてくれたが、食べてみるとまんまサツマイモで驚いた。
ただサツマイモだけでなくネギやキノコに小麦を水で溶いて固めたすいとん、更にコンニャクも入っている。
昼に食べた青色の唐辛子も入っていて、味噌ベースのスープは懐かしさすら覚える。
1杯おかわりもいただいて大満足。
「美味しかったです! ありがとうございます!」
「そりゃよかった。なぁ婆さん」
「ええ、喜んでもらってこっちも嬉しいよ」
その後軽く談笑したら、日が落ちる前に町に戻るのだった。
宿での夕方を断ってなかったので夕食を食べ、夜も素振りを行う。
俺に触発されたのか、武器を使おうとする奴は裏庭で素振りを始め、8人くらいが夕食後に裏庭に集まり始めた。
「いやぁ金やんに触発されたわー」
「そうだよぁ何事も練習だよな」
武器を使うと決めたのは野村に剣道部の五十嵐、あとは素手や足で敵を攻撃するのに抵抗がある女子達だ。
女子達はどこまで続くか分からないがとりあえず頑張ることにしたらしい。
「やっぱり野球のスイングの癖が抜けねえけども、斧の横斬りはそれでも良いかもな」
野村が剣道部の五十嵐にアドバイスを求めるが、五十嵐も実戦的な剣術や斧での戦い方なんか知らないので振りやすい形かつ、実戦で修正していくしか無いと言うアドバイスしか出来ない。
彼もあっぷあっぷなのだろう。
「野村、冒険者ギルドで相談してみたら良いんじゃねぇか? 金を支払って先輩冒険者に依頼ってのも手だと思うが」
「その手があったか……金やん助かる」
そんな話をして俺達は風呂場に直行する。
「やっぱり本気で鍛えている人は腹筋が割れ始めてる」
「良いよね腹筋割れている人って」
先ほど一緒に鍛錬していた女子達がそんな会話をしている。
コイツら筋肉フェチだったのか?
ゆっくり湯船に浸かりながら元男の野村と五十嵐と集まって話をする。
「いや、正直この体になって俺は助かったと思ったわ……剣道好きだったけど剣道用眼鏡が全然合わなくて苦労したんだよな……眼鏡しないとド近眼で眼鏡着けないと相手の剣筋がブレてよ」
「あー、確かに五十嵐はずっと眼鏡を着けているイメージが強かったが……そんなに近視がキツかったのか」
「2列目で黒板の文字がぼやけて見えないからな……だいぶキツかった……女になったけど裸眼で遠くの景色がはっきり見えるのは凄い嬉しいんだよなぁ」
「まぁ確かに女かつドラゴンという体になったけど、身体能力の向上は気持ちが良いよな。俺もこの体で野球をやれれば即プロで通用すると思うぜ」
「俺もこの体で自衛隊に入れば特殊部隊でも通用するだろうなぁ」
まぁ元の体に戻って元の世界に戻るのが一番良いのだが……。
「野村は明々後日からだっけ? マッシュルーム迷宮の長期アタック」
「ああ、五十嵐も一緒にな」
「委員長に誘われたしな」
「なぁ野村と五十嵐は大金手に入れたら何に使うんだ? なんか夢みたいなのは見つけたか?」
と俺が質問する。
2人は顔を見合わせて
「俺はまだねーな。ただ1年か2年したら一度王都か公爵領の本拠地には行ってみたいな」
「俺も野村と同じく夢っていう夢はねえな……まだ来たばっかりだしよ」
と王都や公爵領の本拠地の都市に行ってみたいなと言うのはあるが、それ以上はまだ無いらしい。
「そう言う金やんは何かあるのか?」
「俺もまだねーな。でもせっかく異世界に来たからには学べることは学びたいと思う。まぁとりあえず直近の目標は中級市民になることかな」
「中級市民になると土地が買えるんだっけか」
「そうそう。まぁ色々な店に入れるらしいし、土地を借りるのも楽になるからな」
「ふーん」
話していたら体が温まってきたので風呂から上がる。
「まぁ今夢決まってるの豪炎寺と原村くらいじゃね? 2人で食堂開きたいって言っていたし」
「あー確かに」
逆に速攻で夢を決められる奴らは凄いなぁと俺は思うのだった。
自分の部屋で柔軟をしてからベッドに横になる。
「明日は魔法ギルドに行ってみるか……オタクに誘われているしな」
とそう思い、ステータスを一度確認する。
【名前】金田光一
【年齢】0歳(17歳)
【性別】女(男)
【種族】ドラゴン
【状態】健康
【レベル】80
【ステータス】
·体力 1240
·力 1440
·防御 1250
·器用さ 80
·素早さ 111
·魔力 1050
·精神力 86
·幸運 90
【スキル】(スキルポイント132)
·水泳(熟練度2)·手刀(熟練度10)·夜目(熟練度10)
·ライト(熟練度5)·火炎放射(熟練度7)
·ウイングシールド(熟練度5)
·ウイングカッター(熟練度1)
·ホバー移動(熟練度1)
·投擲(熟練度2)·聞き耳(熟練度7)·目星(熟練度7)
·咆哮(熟練度1)·踏み込み(熟練度1)·解体(熟練度1)
·安眠(熟練度2)·体内時計(熟練度1)
·タイマー(熟練度1)
·浮遊(熟練度10)·飛行(熟練度11)
·両利き(熟練度3)
·並列思考(熟練度2)·高速思考(熟練度2)
·皮膚の硬化(熟練度1)
·魔力操作(熟練度13)
·土魔法(聖級 熟練度12)
·水魔法(上級 熟練度10)
·回復魔法(上級 熟練度5)
·病気耐性(上)·麻痺耐性(上)·毒耐性(上)·状態異常耐性(上)·寒冷耐性(上)·熱耐性(上)
·体力成長増加(中)·力成長増加(中)·防御成長増加(中)·器用さ成長増加(中)·素早さ成長増加(中)·魔力成長増加(中)
·スキルポイント増加(中)
·異世界語(翻訳)(執筆)(発声)
装備の値を全て外すとこんな感じだ。
「熟練度も上がってきたな。上がりやすいのは一気に上がるんだよな……飛行とか直ぐに上がったし」
次はどんなスキルを取ろうかなと迷いながら眠るのだった。
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