冒険者ギルドの講義
朝寝過ごすかもしれないと思い、タイマーというスキルが1ポイントだったで習得しておいた。
このタイマーというスキルは熟練度1だと1回まで行動をセットすることができる。
だから目覚めるという行動をセットしておけば体内時計と組み合わせれば決まった時間に起きることが可能だったり、魔法と組み合わせれば時間差の攻撃をすることができたりするっぽいことがスキルを習得してみてわかった。
とりあえず今は目覚まし替わりに使い、熟練度が上がれば別の使い方を考えようと思う。
タイマーをセットしてから眠り、だいたい7時間後の朝6時、タイマー通りに目覚める事が出来た。
眠い目を擦って風呂場に行き、朝風呂を堪能。
柔軟をして体をほぐし終わると朝食の時間になり朝食を取るが、オタク、宮永さん、中園さんが申し訳無さそうにやって来た。
「昨日は予定すっぽかして申し訳なかったでござる」
「「ごめんなさい」」
「いや、1人でも何とかなったから大丈夫だよ。今日は自由行動で良いんだよな」
「そうでござるな……次の迷宮へのアタックは2週間後にしようと思うでござるよ。またソレンス迷宮で良いでござるな」
「そうだな。象頭が復活しているか気になるしそれで良いと思うわ」
「象頭の事は拙者達が皆に通達していくでござるよ」
「あ、じゃあ俺は前田先生に食事後に米をどうするべきか聞くわ」
そう言って朝食を取り、俺は前田先生を食後に捕まえる。
「おや金田君どうかしましたか?」
「前田先生、昨日迷宮から拾ってきた物で相談が……」
「魔道具の類なら分かりませんよ私は」
「いえ、ちょっと米を拾ってきまして」
「なんですと」
俺は米俵と取ってきた稲穂を見せる。
「確かにこれは米ですね……これが8俵で1俵60キロくらいですか」
「はい、ただこの米多分食べると精神のステータスが上がる感じなんですよね……俺ら的には継続的に食べれるように農家と契約して育ててもらおうと思ったんですけど」
「なるほど確かに長期的にはそれの方が良いでしょうが……育てるとしたら早めに農家と契約した方がいいですよ。冬が長いらしいので夏が短く、全体的に寒い気候らしいのでね」
「そうですね……ただ食べたくなりませんか?」
「それはもちろん……米と味噌汁だけでも今なら食べられそうですよ」
「クラスの皆には言う感じでいいですかね」
「私から伝えましょう。あと精米とかは私がやりましょう」
「お願いします」
そう言って先生に米俵を1俵渡した。
31人なので1人2合食べるとしたらだいたい10キロの米を炊く必要がある。
なので1俵で食べられるのは5食から6食分になる。
それでも米が食べられるというだけで嬉しくなったのだった。
もう1本のミスリルの剣をダンデの武器屋に焼き直しをしてもらうために朝一で預けて、冒険者ギルドに行き、受付に挨拶すると2階に通された。
どうやらリーフィアさんとベアトリーチェさんは別のチームの対応をしているらしく、俺の所にはマリーちゃんが来てくれた。
「本日対応するマリーです! 今日はなんのご予定で?」
「講義について聞きたくて。今日やる講義に参加とかも出来ますか?」
「今からですと午前2コマ目の講義から受けることが出来ます。どんな講義を受けたいとかありますか?」
「そもそも冒険者ギルドではどんな講義が?」
「えっと……剣術や戦闘術の講義、文字の読み書きの講義、算術の講義、周辺で出てくるモンスターの講義、野営のやり方の講義、料理についての講義……等があります。カネさんにお勧めなのは村から出てきた初心者冒険者に冒険者や町の常識を教える講義とかはどうでしょう」
「今日やってるの?」
「はい、春の季節の間は初心者冒険者が増えるのでやってますよ」
「じゃあそれを受けます」
「授業料は口座から引き落としで良いですかね」
「じゃあそれで」
「かしこまりました。講義は3号館で行いますので案内しましょうか?」
「お願いします」
「わかりました!」
マリーちゃんに案内されて3号館に来ると、学校みたいな印象を受けた。
中にはテーブルと椅子に教壇があり、教師が黒板に色々書いて教えているのがわかる。
ほかにも調理室みたいな所で料理を習っている人や、教室を2つ連結した広い部屋では剣術の授業が行われていた。
「色々あるんですね」
「はい。だいたい午前2コマ、午後2コマで午前1コマ目は前日の予約した人が受けるコマになります」
授業内容は学校ではなく、俺は行ったことが無いが話に聞いていた自動車教習所のコマ割授業に近いと思う。
「この部屋が控室になりますので鐘が鳴ったら隣の教室に移動してください」
そう言われた。
今歩いてきた流れで校内もざっくり分かったので今後は案内が無くても大丈夫だろう。
控室で待っていると、俺が受ける授業が初心者向けだからか、10歳そこらの子供が多い気がする。
「スゲェ! 竜人だ!」
「竜人初めてみた!」
「かっこいい!」
なんか凄いキラキラした目で見られるのでやりづらい。
鐘が鳴り、教室に移動して適当に座っていく。
教師には眼鏡を掛けたおばちゃんが教壇に立つ。
元の世界だったらスーパーの特売で激戦を繰り広げそうな主婦っぽいおばちゃんだ。
「はい、皆さんにこの町の常識や冒険者の心構えを教えるエーリッヒです! よろしくざます」
ざます口調の人初めて聞いたわ……そんな事を思いながら講義を聞いていく。
内容としては冒険者の五箇条……法を守りましょう、盗みをしないようにしましょう、人殺しをしないようにしましょう、強盗をしないようにしましょう、レイプをしないようにしましょうと言うやつである。
それを復唱しながら教えられ、次にお金の単位や1日生活するのに必要なお金の金額、剣等の武器が買えるまではギルドの依頼を受けましょうとか本当に基本的な事を言われる。
授業を受けて良かったと思った内容は冬までに纏まったお金が無いと奴隷に落ちる事があるから気をつけなさいということ(冬の間仕事が無いので奴隷になることで職を得て食いつなぐ……奴隷になると最低3年程度拘束されるので冒険者に戻るのに時間がかかるとも言われた)や、3箇所の迷宮の名前と場所……ソレンス迷宮、グリーンビット迷宮、マッシュルーム迷宮の3つで、ソレンス迷宮は洞窟みたいで採掘で屑鉄を採掘でき、グリーンビット迷宮は草原の様な迷宮で、4階層が最下層と浅く、ユニコーンもそこで捕獲できる緑生い茂る迷宮らしい。
マッシュルーム迷宮は食べられるキノコがそこら中に生えている(まんまマッシュルームがそこらに生えている)らしく、動くキノコやお化けカボチャ等の食べられるモンスターが多いのだとか……バーガータウンの食糧庫的な意味もあるらしい。
ざっと常識についての授業を受け終わり、俺は午後は剣術の講義を2コマ予約して冒険者ギルド前の食堂で満腹セットメニューをまた注文してかぶりついた。
食事を終えて軽く休憩をした後に剣術の授業となり、教官は3名で20名の授業を受け持つ。
木の剣が渡され、教官がお手本を見せて、とにかく素振りを行う。
ここでは基本的な型を教わるくらいで実戦で型を試していくしか無いらしい。
あと剣術を極めたいならこの町にもある道場で勉強した方が良いと言われたが、基礎が固められるならここで良い。
剣術も魔法攻撃の補助的な意味合いが強いし、解体のスキルと上手く合わせれば敵の急所を斬り裂く事も出来そうだし……。
他の人がバテても俺は素振りを続けて2コマ連続で素振りをし、教官達から細かい修正を受けて、とりあえず基本の払う、叩く、突くに講義が終わったあとも追加でお金を支払って見てもらい、双剣の場合の動きを教わった。
「分からなくなったらまた来い。それまでは素振りで自分の型を洗練していけば実戦では使えるようになるだろう。1日で教えられることは教えたつもりだ」
とお墨付きをいただいた。
あとは素振りをして洗練していくしか無いのだろう。
夕食前に武器屋ダンデの武器屋に寄って、鍛錬用の鉛製の片手剣を2本買い、暇がある時は宿の裏庭で素振りをするようになるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます