ピラミッド内部
今日は俺が卵みたいな果実を持ってきたので電気亀の肉やバロメッツの肉をミンチにし、野菜等も細かく刻んでそぼろ入りの野菜炒めを作り、その上からオムレツをかけて野菜たっぷりオムレツが出来上がった。
本当調味料が限られているのに豪炎寺と原村さんはよく料理が思いつくなぁと思う。
食べ終わり、食後の休憩タイムで各々今日の成果を発表していく。
一番は宮永さんが見つけたゴーレムの効率的な倒し方やピラミッドフロアの周辺で採取できる作物についてだ。
針金みたいなツルはフェルトと組み合わせればより沢山物を入れることができるカバンができるし、野菜や果物を入れておく籠にもなる。
事実俺達が背負ってきた籠は皆の話を聞きながら持ってきた材料でもう何個か作っていた。
そしてやっぱり外に出るには上を目指す必要があることを説明する。
「ピラミッドに異世界語で書かれたプレートですか」
「少なくとも異世界人がそこまでは到達している証拠になります。上に行けば遭遇することも考えられるので異世界語の翻訳、書く、聞く、話すの4種の20ポイントはピラミッドを進む時に残しておいたほうが良いです。あとスキルポイント増加はレベルが低い時に中まで上げておいたほうが良いことが判明しました。中まで上げるのに合計で30ポイント必要になりますが10レベルでペイできますので」
「なるほど……」
なお野村や佐々木と話したが、1週間はピラミッドの外周までの探索で、クラス全体のレベリングに注力し、1週間後にピラミッド外周部に更に上を目指すための拠点を作る事も決められた。
なので木材を運んでベースキャンプを作ったりするのを進めていかないといけない。
ピラミッドの周りは今日調べた感じ動物系のモンスターも居ないので場合によってはここのフロアよりも安全かもしれない。
ゆくゆくは全員そっちの拠点に移動することを視野に入れながら作業をしなければ……。
その後は明日の人員の割り振りを決めて就寝となるのだった。
翌日から俺はベースキャンプ設営要員となり、比較的レベルが高い人達で木材を運び、ピラミッドの外周に木と土壁で作った家を作り始めた。
上級土魔法の性質変化の応用で粘土を幾つも生み出し、それを他の人が型に入れて、四角いレンガにし、それを別の人が火炎放射で焼き固めていく。
それを俺が生み出したコンクリート擬きを繋ぎにしてレンガを組んでいき、壁を作った。
屋根は特に作られなかったが、お陰で開放感のある感じになり、基本的に床はコンクリート擬きで固めて、寝るところだけ木の板を置いてそこにフェルトを糸で繋げた敷物を引いてほんの少しだけ寝やすくしていた。
料理をするための窯を作ったり、肉を長期保存出来るように燻製にする燻製機を作ったり、薪を運び込んで1週間後にはそれなりに形になっていた。
完成した日はそのベースキャンプに皆で泊まったが、ピラミッドの周りが少し暑いので眠りにくいのと水浴びに水魔法で水を生み出してから仮設で作った池で水浴びしなければならず、コンクリート擬きで固めているとはいえ、少し不便であった。
それに肉となるモンスターを狩るには下の階層に行かなければならないので、結局毎日使うのではなく、休憩がてらに立ち寄る程度の場所となるのだった。
ベースキャンプも完成し、皆のレベルも最低35まで伸びたので、一番レベルが高い俺、回復要員の中園さん、知識面で補佐するオタク、武力担当の野村の4人でピラミッドの内部探索を始めた。
「「「「ライト」」」」
1ポイントで取れ、両手を発光させる事のできるライトというスキルを全員取り、暗いピラミッドの中を探索する。
すると動く影を見つけ、光を先に集中すると、包帯で全身を包んでいる人型の動くモンスターがそこに居た。
「ミイラ〜」
そのモンスターが言うようにミイラである。
汚れた包帯からは朽ち欠けた肉が覗かせている。
「火炎放射!」
俺はミイラに向かって口から火炎放射を行うと、10メートル近く離れていたミイラに命中し、ミイラは火達磨になって勢いよく燃え上がり、体をくねらせながら最後は緑色の宝石を残して、消えてしまった。
「元が人間なら骨は残るし、こんなに勢いよく燃えないと思うでござるのでミイラの形をしたモンスターでござるな」
「ピラミッドの中では食事したくないな……内部にある水も汚染されているかもしれないから飲みたくない」
「火に弱い感じか」
野村の問いにオタクが
「多分そうでござるな。包帯と体の油分でよく燃えるのかもしれないでござるが、モンスターに相性があるなら炎が効果抜群なのかもしれないでござる」
「ゴーレムと一緒か」
ちなみに経験値増加の効果があってもミイラ1体ではレベルが上がることは無かった。
危険度的にもゴーレムよりも恐ろしくないので上の階層に進むほど敵が弱くなっていくかもしれない。
そのままローテーションでミイラを焼き殺しながら上を目指して歩くこと1時間。
ピラミッドの内部は螺旋状の1本道になっており、その道中の曲がり角に宝箱が置かれていた。
「オタクどうだ?」
「うーむ鍵がかかっているでござるな。偶に出てくる鍵付き宝箱でござる」
一つ下の階層でも偶に出てきて、罠付きの宝箱の他に鍵が付いた宝箱が出てくる事もある。
鍵付き宝箱の場合普通の宝箱から出てくる物よりも良い物が出てくることがある。
今回出てきたのはミサンガでちょうど4人分ある。
せっかくなので足に巻きつけると、ステータスに変化があった。
俺は幸運の値が10と器用さが200上がり、更にスキルにマッピングというのが追加された。
「マッピング」
そう宣言すると目の前に光の板が現れ、地図の様な物が現れた。
今まで歩いた道が記録されるらしく、ページをスライドすると下の階層の地図が表示された。
イメージはゲームとかの不思議のダンジョンとかで画面の横に出てくる線だけで出来ている地図である。
ちなみに自分の現在地が白丸で表示されていた。
「皆もマッピング?」
「そうでござる。あと幸運は100固定なのかそれ以上の上がらなそうでござるな」
「俺は幸運が30も上がったぜ」
「わ、私も幸運が50上がって100になった」
「器用さが上がったけど何か変化あるか?」
「ちょっと待ってろ」
野村が土魔法で野球ボールのような石を作ると、徐ろに壁に向かって投げ出した。
石はすごい勢いでカーブの軌道を描き、地面に斜めにぶつかって跳ねてどっかに飛んでいった。
「凄い変化したな」
「今までの器用さだとせいぜい横にボール2つ分動けばいいや程度だったけど、今ボール10個分くらい動いたよな」
「あとは木工とか裁縫とかも器用さ依存かもしれないでござるな。武器の扱いやすさとかにも関係があるかもしれないでござる」
「なるほど……当たりの装備品だったな」
俺達はミイラを更に消し炭にしながら進み、更に30分。
ミイラを30体を倒した所で最上部に到達したのか階段が見えた。
「ここが最上部の階段となると……」
俺は壁に向かって土魔法で性質変化を浸透させて柔らかくすると、掘削で穴を開けた。
外部の光がピラミッドの内部に差し込んでくる。
「金田君、穴を開けてどうしたね?」
「いや、穴を開けておけば外から飛行で楽に入れるかなって思って……」
俺は飛行で天井に開いた穴から顔を出して下を見下ろすと、ベースキャンプがちょうど見えた。
「飛行で飛んだら1分もかからずに到達できるよねこれ」
「まぁ距離短縮は良いと思うでござるよ……更に上が何階層あるか分からないでござるから」
とりあえず今日の探索はこれで終了し、全員飛行で俺が開けた穴から外に出て、一番下の階層の皆の所に戻るのだった。
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