2日目?終了
皆が戻ってきて成果報告を行う。
前田先生は元生物科学部の飯田と元図書委員の藤原と他に3人引き連れてバロメッツの収穫に向かったらしい。
茎から取るのでは無く川沿いに居たバロメッツを捕獲してきたらしい。
飯田曰く昨日茎から収穫したバロメッツのところには小さなバロメッツが新しく実っていたらしい。
似た植物が無いから何ともいえないが、茎や根が無事なら何度も生えてくるっぽい生態をしているのかもしれない。
「あと大きなバロメッツなんだけど黒色のバロメッツが居たからそいつも捕まえてきたんだけど……そのバロメッツのお腹に種みたいなのを抱えていたんだ。一応全部取って僕のポケットの中に入れているんだけど」
と飯田が教えてくれた。
種を植えたらバロメッツが生えてくる展開もあり得るのか?
「あ、あと黒色のバロメッツの綿の方が光沢があるというか綿の質が良い感じがする」
そのバロメッツ達は既に毛? 綿を抜かれて首を切断された状態で転がされていた。
報告会が終わったら料理に使うらしい。
続いて俺がオタクと宮永さんを代表して報告する。
まず魔法の事で魔法を使うには魔力操作のスキルを取らないと制御が難しい事を話し、魔法の初級は触れている現象を操作する事であり、宮永さんが水魔法の中級スキルを習得し、中級から水を生み出せること、物質を生み出すと操作するよりも大きく魔力を消耗することを教える。
そして動く木を切り倒して角材と残った廃材を薪の代わりにできることと土魔法を使ってトイレを作ったことを話す。
あと宮永さんが昨日の動く木の残りで目の前に複数個あるテーブルを作ってくれたことを説明する。
ミニスライムを体内に入れているのは言うか迷ったがオタクと宮永さんが頷いたので自分達の体でもお尻からミニスライムを体内で飼うことにしたことを説明する。
スライムが生きている物は食べない為に体内で飼うことでトイレの回数を減らせると説明し、ただ危険な可能性もあるので各種耐性を取っていることやレベルが上がり次第治癒魔法や再生と言ったスキルを優先的に取っていくことを説明する。
その発言に危ないのによくやるよとか凄い思い切ったなとか色々言われた。
「ただあくまで大便だけで、小の方はトイレを使用する必要があるからトイレを使って欲しいのとスライムも排泄物を食べれば大きくなっていくと思うからお腹に張りが出てきたら排出する必要があると思う。排泄したスライムは燃やして良いと思うけど、そもそも燃えるのかどうかを時間をかけて確認する」
と説明した。
「大便だけでもトイレへ行く回数が減るのは良いな」
「大腸の中にスライムがずっといるってことでしょ……綺麗に宿便とってくれて便秘にならないなら良いけど……」
危険性を込みで賛否は分かれた。
前田先生にはそんな危ないことをしなくてもと注意されたが怒ってしまうと生徒の自主性を奪ってしまうからと考えたからか、体を実験に使うという点だけの注意だった。
学級委員長の前園の班は昨日に続き木の実の収穫と探索をしていたらしく、新しい果実を探してきていた。
なんと2種類も!
ただここの果実は全て基本がスイカサイズなのか?
「1つ目がピンク色のバナナみたいな果実で実り方もバナナみたいなんだけど果肉部分の中にコーヒー豆みたいな種が結構入っているんだよね。指に挟んで思いっきり力を入れたらすり潰せたけど粉末コーヒーみたいな味がした。水に溶かして飲んだら体に良さそうだけど好き嫌い分かれるかも」
「もう1つはココナッツみたいな感じの木の実で、木の高さが10メートル以上あったけど揺すったら何個か落ちてきて人数分は用意できなかったが、多く実っていたから次には全員分持っていけるようにしたい」
ピンクバナナは全員に1本以上、ココナッツ擬きはだいたい20個、桃オレンジは全員に1個ずつといった感じっぽい。
続いて野村のグループはワニみたいなモンスターを2体倒していた。
「湖の奥に居て、襲いかかってきたこのワニ擬きを足の速い桑原(元陸上部)が囮になって、待ち構えていた佐々木(元柔道部)が尻尾を掴んで思いっきり投げて頭を地面に叩きつけて倒したんだ。佐々木は2体倒したらレベルが15になったから1体で7レベル上がるっぽい」
そう話し、今日はワニの肉料理を頼むと原村さんと豪炎寺に頼んでいた。
そんな原村さんと豪炎寺、あと数人は調理道具の調達や粘土を火炎放射で乾かして即席レンガを作って竈を作っていたらしい。
この空間の壁の水晶を削り、それを石で削ってクリスタル包丁を作ったり、木の枝を削って人数分の箸を作ったりもしてくれていた。
「出来れば鍋がほしいんだよな〜。代用できそうな物があったら教えてね〜」
と原村さんが言う。
そんな感じで報告会は終わり、調理を始める。
まずココナッツ擬きを手刀で半分に割って中身をくり抜いていく。
中身は乳白色のゼリーの様な物が入っており、豪炎寺が試食してみると牛乳寒天みたいな味と食感がすると言っていた。
半分に割った事で全員に行き渡る事ができそうだ。
委員長はチャポチャポ音がしたので中身が液体だと勘違いしていたらしい。
ピンクの巨大バナナは1本で手のひらから肘くらいまで長くて太いが、皮付きで房から取って皆に行き渡らせた。
バロメッツは肉をミンチにしてハンバーグを作り、ワニ擬きのステーキと一緒にオタクが検証したミスリルプレートで焼いていく。
ワニの舌とかも希望者は焼いて食べれるように薄くスライスしていた。
余ったワニ擬きの皮は何かに使えるかもしれないと洗って岸に並べて干している。
最後に桃オレンジをカットして、公平にするために木のプレートに料理が並べられ、箸と木のスプーンを全員に渡されて今日の料理は完成である。
ワニ擬きのステーキ、バロメッツのハンバーグ、ココナッツ擬きのゼリー、ピンクバナナと桃オレンジのフルーツの盛り合わせである。
「「「いただきます」」」
全部が大盛りメニューくらい……全部の重量的に5キロくらいありそうだが、皆バクバクと食べていく。
普段少食だった元吹奏楽部の正木さんも食べるのは遅いけど同じ量を食べていた。
俺も昨日よりも多いメニューに全部食べきれるか不安だったが、スルスルと胃袋の中に入っていき、全部食べても腹8分目くらいだった。
他の人も皆残すこと無く食べ終わり、食べるのが早い人は湖で食器を既に洗っていた。
「ごちそうさまでした」
俺は食後の挨拶をして食器を洗いに行く。
「あ、あの金田君……」
食器を洗っている最中に話しかけてきたのはクラスでも小動物みたいで人気のあった保健委員の中園さんだ。
「中園さんどうしたの?」
「いや、スライムを体内に入れたって言うから……私最初に回復魔法と状態異常の治癒魔法を覚えて中級まで上げたから体調が悪くなったら直ぐに治療するから教えて欲しいの……」
「あ、ごめん中園さん。不安にさせてしまったっぽくって」
「うん、でも金田君がそんなことを積極的にやるようには思わなかったんだけど……」
「オタク……あ、鈴木ね。鈴木と話していたら盛り上がって……」
「あー、鈴木君ね。確かに彼なら思いつきそう。でも先生も言っていたけど自分の体で人体実験みたいなのはしないほうが良いからね」
「うん、次から気をつけるよ」
「……ね、ねぇ金田君、寝て起きたら次一緒に行動しない?」
「別に良いけどどうしたの?」
「いや、特に深い理由があるわけじゃないんだけど……駄目かな?」
「良いよ一緒に動こうか」
「うん!」
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