ミスリルプレート、ミニスライムと排泄物
俺と前田先生が時間を潰す為にスライムについて調べる。
食事をしたからかスライムの面積が大きくなっているのと! 食べた残留物がまだ体内に残っているのが透けているので、中身が見えていた。
プルプルとスライムが震えだすとポコポコと種の様な物を吐き出した。
「金田君、スライムが何か吐き出しましたよ」
「……小さなスライムですね」
小指の第一関節くらいしか無いスライムのこどもが出てきて、先ほどまで大きくなっていたスライムはビーズクッションくらいの大きさに戻ってしまった。
「この子供スライムって残飯とか与えたら大きくなっていくんですかね」
「うむ……私も詳しくないからどうなのだろうね」
こういうのに詳しいのはオタクの鈴木か、そういう本をよく読んでいた藤原さんとかだろうか……。
スライムの生態なんて知ったところで役立つとは思えないが……。
前田先生は再びスライムをビーズクッション代わりにしているし……。
とりあえずチビスライム達を集めてドレス……よくよく考えると戦闘服にも見えてきたが……それになぜかあるポケットの中に突っ込んだ。
そのまま前田先生の座るスライムの後ろ側を借りて腰を下ろした。
いつの間にか俺も眠ってしまったらしい。
気がついたらオタクが近くで座っていた。
「あ、オタク……あれ? 俺寝てた?」
「そりゃあぐっすり眠っていたでござるよ」
「前田先生や他の皆は?」
「食糧集めや探索の続きに向かったでござる。拙者は残された金やんとスライムの見張りでござるね」
「……前田先生寝たのかな」
「前田先生は最初に起きた人達と探索に向かったでござる」
「じゃあ寝てないのか……大丈夫かな」
「ヤバそうだったら寝かせるでござるよ。もしここがダンジョンの中……いやダンジョンの中でござるな」
「オタク断言? 何か根拠が?」
「金やんが眠っている間に委員長(前園)が水浴びの時に宝箱を見つけて引き揚げて来たらしいのでござるよ。さっきそれを開けたら銀食器が20枚入ってたでござる。紋様が入っていて普通の銀食器って感じでも無くて、拙者が金やんが起きるまで調べていたでござるよ」
それと言ってオタクは俺に1枚の銀食器を渡してきた。
銀の皿というより肉とかを盛り付けるプレートみたく見える。
大きさは縦25センチ、横が35センチの長方形で角は丸みを帯びていて、凄い軽い……銀ってこんなに軽いか?
分厚さは5センチくらいあるけど正直この軽さは異常だと思うが。
「なぁオタク? これって本当に銀か?」
「金やんも気がついたでござるか。アルミみたいに軽いんでござるよな。異世界だと定番の金属があるでござる。ミスリルって言うでござるが」
「どんな金属なんだ? 多分銀に似ているのは分かるが」
「小説とかの定番だと魔法銀と呼ばれることもあるでござる。鋼よりも頑強で、羽の様に軽く、銀よりも光沢があり、魔力を良く通す……そんな金属でござるよ。スキルやステータスに魔法や魔力があるから架空金属があっても驚かないでござるよ」
裏返して見るとベッタベタな魔法陣が描き込まれていた。
「オタク、魔力を流したら何か起こったりするんじゃないか?」
「そう思って魔力操作というスキルをさっき取ってみたでござるよ」
「なんか変わるか?」
「魔力の流れが掴めるでござるな。体内の魔力の流れがわかるでござる。毛細血管まで流れる血液を感知できるみたいな感じでござるか」
「うへ、少し気持ち悪いな」
「いやいや多分魔法を使うためには必須でござるよ。豪炎寺みたいに火炎放射で口から吐き出すのでは無く手から水を生み出すとかそういう魔力に指向性を持たせたり火力のコントロールにも必要そうでござる。金やんも取っておいて損は無いと思うでござるよ」
俺はオタクに言われるがままスキルのツリーを確認すると3ポイントで習得可能になっていた。
後々魔法を覚えるつもりなら良いかと思い、魔力操作のスキルを覚える。
すると心臓の横……胸の谷間辺りに魔力が溜まっている箇所があり、そこから全身に血管に乗って魔力が流れているのがよくわかる。
「おお、確かに魔力の流れがわかるようになったわ」
「じゃあ皿……いや、プレートに魔力を流してみるでござるよ」
そう言ってオタクがプレートの端を持って魔力を流すと魔法陣が光り出してプレートから熱が出始めた。
「おお!? 熱くなった?」
「オタク持ち手は熱くないか?」
「いや全く熱くないでござるよ」
試しにドクダミみたいな野草の葉っぱを置いてみるとジュゥと煙を出していた。
オタクが手を離しても葉っぱは熱せられ続け、煙を出している。
1分ぐらいすると魔法陣から光が消えて徐々に温度が下がったのか野草から煙が上がることも無くなった。
手をプレートの上でかざしてみても熱いではなく暖かいくらいになっていたので、葉っぱを取ってみると綺麗に真っ黒に焦げていた。
「熱を生み出す魔法でもかかっているのか?」
「かもしれないでござるな。これならばフライパン代わりに使えそうでござるな」
「持ち手の部分が狭いから調理に使うのは結構苦労しそうだが、普通にプレートとしても使えるか」
「一瞬魔力を流して料理を温めるのにも使えそうでござるな」
便利な物が手に入ったとオタクと一緒に喜んだ。
ただ枚数が20枚しか無いので全員には行き渡らない。
ステーキをこれで焼いて、残りの人は木の器で食べるとかになりそうである。
ちなみに手先の器用な連中が手刀のスキルを取って、指をノミやナイフ代わりにして動く木の胴体部分を四角くくり抜いてそこから皿の形に削っていた。
オタク曰く不格好だけど皿やプレートの代わりにはなるとの事。
「あ、オタク俺も聞きたい事があるんだけど」
「なんでござるか?」
俺はポケットからミニスライムを取り出す。
「先生のスライムが残骸や血抜きで地面にこびりついていた血を食べたらミニスライムが生まれたんだけど」
「ふむ……生きている物は食べなくて死んだものや排泄物を食べるでござるか……1つ失礼」
するとオタクはいきなりスライムを股に手を当ててお尻にミニスライムを体内に入れた。
「な、なにしとるんじゃ!」
「トイレの代わりですよ。地面を掘ってスライムをそこに入れて排泄物を食べさせるのでもいいですが、ミニスライムで生きている物を食べないなら体内で排泄物を食べてくれると思ったでござる」
「でも大きくなったら体が破裂しないか?」
「大きくなったら力めば排泄できると思うでござるよ」
オタクのこういう時の行動力は凄いと思う。
そう言えば元の世界でも夏のコミックマーケットに行った感想を聞いた時に戦場に行ってきたみたいな事を言っていたから行動力はあるんだろうな……。
俺はやりたいとは思えないけど……というかスライムトイレを作った方が良いんじゃないか?
「いや、そこは普通にスライムトイレで良いんじゃないか?」
「でもトイレットペーパーないでござるよ……というより拙者達服擬きは着ているでござるが下着も履いてないでござるからこうでもしないと汚いと思うでござるが……」
「そう言われると確かに……」
「入れてみた感じ別に何か悪さをしている感覚もないでござるし、異物感も特に無いでござるよ」
「……入れるか」
俺もオタクに説得されてミニスライムをお尻から入れた。
確かに異物感は無い。
「一応病気とかの耐性取っておこう」
「そうでござるな。それで病気を防げるならよいでござる」
俺とオタクは病気、麻痺、毒、状態異常の耐性を小まで習得して寝て汗をかいたので水浴びをするために湖に移動するのであった。
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