第9話 再会の日
数週間後、愛理は制服に袖を通し、ロフストランドクラッチを使って、3ヶ月ぶりに学校に行く決心をした。
家を出るとき、心臓が壊れそうなくらい緊張していたが、優也が横に立ってくれていることが大きな支えになっていた。
クラッチをつくたびに
カチャ、カチャ
と廊下に響く学校とは不釣り合いな金属音。
「愛理、大丈夫?」
「うん、、、」
優也が教室の扉を開けた瞬間、周りの視線が一斉に集まった。
愛理はその瞬間、動けなかった。
しかし、その緊張を打ち破るように、クラスメイトの一人が声を上げた。
「愛理、おかえり!」
その声を皮切りに、次々と「久しぶり!」「待ってたよ!」という声が飛び交う。
愛理は驚いた。自分が恐れていた反応はどこにもなかった。代わりに、自分がいない間も彼女を気にかけ、帰りを待ってくれていた仲間たちの優しさがそこにあった。
「ありがとう……。」
愛理は自然と涙がこぼれたが、それは悲しみではなく感謝の涙だった。
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