第8話

「どこ行ってたのよ、何してたのよ! 何で肝心なときにいないの!」

「いや……貴女が倒れてからすぐ、魔女のもとに向かって呪いを解かせたのだが……」

「え⁉」

「戻ってみたら貴女の姿はないし、小人達は泣くばかりで」

 困ったように頭を掻く彼。


 ……そっか。

 彼なりに考えて、すぐに行動に移してくれていたのね。


 しかも、ちょっと待って。

 呪いを解かせたって言ったわよね?

 まさか、私が目覚めたのはそのおかげ?

 じゃあ……


「私のファーストキスーッ!」


 目覚めも何も関係なく、ただの奪われ損じゃない。あんなバカ王子に……


「キ、キス?」

「奪われたのよ! あの王子に。運命だのなんだのって。目覚めに関係なかったんなら、完全に奪われ損じゃない」


「……殺っとくか、あの王子」


 おっと。落ち着いていた彼が再び鋭い眼差しを王子に向ける。


「そんなことしなくていいわ。貴方の剣が汚れてしまうもの。それより、大事な話があるわ」

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