第2話

「ええっと、一から説明するとカラと賭けをしたのですよ。彼女が出来ればラーメンを奢ると。で、告白する奴はどうせならかわいい子が良いってことでハニーとボンとジンの誰かに告るってなって、ジンにしたら失敗した時リスクが大きいのでやめて、残りの二人にやるならどうせなら確立を上げるために両方にしようってなって。まぁそれで、ハニーに告ってその後無理ならボンに告ろうとしていたのに忘れて帰って来たのです。すいませんでしたぁ。」

 女性陣の目線が痛い。確かに酷いことをした、今思えば。でもハニーが好きなのは本当だ俺のストライクゾーンど真ん中だし。すごくタイプなので付き合えたのは嬉しい。ここはハッキリと言ってボンには帰ってもらおう。

「でもなんで二人はここのいるのかな、白山さんも黒川さんも彼とはどういう関係なの。」

 おおっとこれはもしや嫉妬か。三人の中で一人だけがはみごだもんな、そりゃ怒るわ。でも顔が良いからか怒っていても可愛い。ここはまたジンの力を借りて解決しよう。ハニーにも手伝ってもらおう。

「私たちは付き合っている。黒川さんも同じ。あの噂の中であなただけが放置された。」

 ジンがボンを煽る。なんで煽るんだ此処は平和に行こうよ。俺の家が壊されるのだけは阻止しないといけない。俺はかなりハラハラしてきた。電車で赤ちゃんが泣きそうで泣かない時くらいには不安な状況だ。

「私は黒川さんや白山さんよりも劣っているって言いたいの。確かに二人に比べたら胸も身長もないけど、告白回数とかはおなじくらいでしょ。」

 ボンが怒った。それもかなりガチなやつだ。明らかにさっきまでと様子が違う。

「彼方は後回しにされた。私は告られたわよ。しかも二回も。白山さんは成り行きでも付き合ってはいるし。やっぱり彼方が一番下ね。」

 何の話をしているのか分からない。一番下も上もないくらい三人とも可愛いしもう個人の好きなタイプでその辺は変わると思うが。というか学校でもそうだったがどうして彼女たちは争っているのだ。ジンとハニーもかなりお互いを意識しているしボンも二人を意識しているのは確かだ。もしかして女のプライドとやらか、そうとしか考えられない。

「なんで私が放置で黒川が二回も告られてるの。目が腐っているのかな。それとも見えてないのかも。うんそれだ、それしか考えられない。」

 かなりの悪口を言われている様な気がするが気のせいだろうか。少し聞き取りづらい小さな声でボソボソと何かを呟いている。いったい何を言っているのだろうか。やはりここは仲間外れにせずに彼女も俺の恋人にする方が良いのかもしれない。

「あーあのさ、良ければボンも俺の側室になるか。」

 三人が三人とも意味が分からないという表情で俺を見る。呆けている顔も可愛いなやはり美少女はどんな時でも可愛いな。

「は、なんでこの私が三股なんてされないといけないのかなぁ。あんまりふざけていると怒るよ。」

 怒ると言いながらもうすでに怒っていると思うのだが。声にかなりの怒気が混じっているし、それなのに可愛く聞こえるのは声も可愛いからなのだろう。

「なんでかは知らないけど三人とも競っているみたいだし。それ俺と三人が付き合って一番を決めるってのはどうかな。期限は卒業までで、一番の人を正妻とする、それで二番三番の人は俺の側室になるってことで、これだと判断するのが俺という共通の審判だし、別々の人と付き合うのならそもそも判断基準が人によって違うから彼氏のスペック勝負とかやってもいつまでも決まんないと思うけど。」

 我ながら良い提案ができた。これで彼女達は俺の提案を受け入れるしかない。後はジンに一押ししてもらえば完璧だ。頼むぞジン完璧なアシストを決めてくれ。俺は目配せで合図をおくるきっと気付いてくれるはずだ。俺達の仲だしいけるだろう。

「私は自信があるからそれで良い。この二人に負ける気がしないし。」

「言ってくれるわね。良いわあなた達になんか負けるはずがないことをしょうめいしてあげるわよ。」

「いや、なんでこの私がこんなのと付き合わないといけないのかな。絶対嫌だよ。この私が三股されるなんてありえないからね。」

 期待どおりにジンが二人を煽ってくれたが、ハニーは簡単に引っかかったのにボンには否定された。くっそ三人と付き合えるチャンスだったのに、どうすればいいんだ。頭をフル回転させて考える。良い案はないだろうか。

「つまり貴方の一人負けってことで学校の皆には私から今日のことを説明しておく。貴方は私たちと直接戦う勇気がないから逃げたと。」

 ジンが上から目線でボンを煽る。ハニーは眼中にないのかジンにだけ眼を飛ばす。ボンが小刻みに揺れジンを殺しそうな目で睨みつける。怖い、あれが俺に向いていたら少しだけちびっている気がする。それに耐えているジンはすごい鋼のメンタルだと思う。

「負け犬はさっさと帰って辺にいる男でも漁ってくればどうかしら、こんなところで時間を無駄にするよりは少しはマシな男が見つける方が有意義だと思うわよ。」

 コップを片手に横目でボンを煽る。まさかハニーからの援護射撃が来るとは思わなかった。

「良いよわかった。そこまで言うなら私が一番良い女だと証明してあげるから。」

 机を叩いて威勢よく言い放った戦争宣言にジンとハニーもぴりついてきた。緊張の糸が張り裂けんばかりにピンと張っている。正直怖いさっきまでも怖かったのだ。野生の猛獣に囲まれている様な感覚になる。こんな檻さっさと抜け出したい。

「なら三人とも参加するならルールを決めよう。誰かに不公平があるといけないし。というわけで絶対のルールは正々堂々と勝負すること。相手を貶めるような噂を流したりするのは禁止ってことで。」

 当たり前だが明確にしておかないと負けそうだからとやりかねない禁じ手を先に潰し手おく。まあこんなことする人はこの中にはいないと信じたいが。

「それで決め方なんだけどポイント制にする。それで文句は出ないでしょ。三人には好きな時に俺にアプローチをかけて良いけど足を引っ張るようなことはなし。」

 我ながら良いことを考える。これで不満は出ないだろう。ああ俺のバラ色の学園生活が見えるぞ。これから毎日ハッピーだな。美女に囲まれて生きるのはハーレムだ。あんなに夢に見た可愛い子だけの薄い嗜好品以外で現実にあるんだなこんなことが。しかしなぜか三人とも真剣な顔で考え事をしている。いったい何を考えているのだろうか。もしややっぱり嫌とか今更撤回とかないよな。そうなれば最悪だ。まあジンが俺には残るから良いがせっかくのハーレムがなくなるのは嫌だな。どうせなら皆でお泊り旅行に行って、三人とそれぞれ別々に一日デートをして、アルカナに行ってからならまあ、納得はいかないが良い。でもその前は絶対に今のハーレムを維持にてみせる。

「ポイント制なのは良いとしてそのポイントはどうやって稼ぐのかな。」

 ボンが俺に質問をしてきたどうやら彼女は本気らしい。ポイントの獲得方法かどうしたものか、そういえば母さんたちのガラクタの中に何か使えそなものはないだろうか。

「マオ、そういえばこの前おばさん達が帰って来た時におみあげで変な指輪があった、それを使えば良いんじゃ。」

 そういえば相手の好感が分かる指輪があるんだけ、それ専用のタブレットがあってそれに同じ指輪をはめた人に好感を持てば勝手に誰に抱いたか認識してタブレットに誰が誰に好意をもったの記録されるんだっけ。

「そうだなあれを使うか。」

 あれは二階の押し入れに置いていたはず。それじゃあ俺が取りに行くか。すぐ見つかるだろうし。

「これだな。」

 押入れを開けるとすぐ目の前にあった。すごいラッキーだ。皆気になったのか俺の後ろを付いて来ていた。まあみられて恥ずかしいものはないから大丈夫だが。三人とも俺の手に持っている箱から各々指輪を取っていく。全員が嵌めたのを確認して俺も嵌めた。するといきなりタブレットが起動した。

「生体認証開始、指輪を外さないでください。」

 いきなり喋りだしたので驚いた、タブレットを見ると認証中の文字しかない。いつ終わるのだろうか。

「それにしてもちょうど四つって都合が良すぎるわね。」

 ハニーが人数分ぴったり合ったことを不自然だと指摘する。しかし不思議ではないなぜなら俺と両親それによく遊びに来るジン、合わせて四人分なのであっている。ジンがそのことを二人に説明している間に俺は設定をすることにした。指輪にはそれぞれ色がありその色の指輪をはめている人の名前を入れていく赤はハニーがはめているのでアカネ青はジンなのでアオイ、白がボンなのでカレンだ。

「私の名前知ってたんだ。まあ私学校じゃ有名だもんね」

 ボンがタブレットを覗き込んで自分の名前を知っていたのをからかうように言ってきた。そりゃあ知っているに決まっている告白する相手の名前くらいは覚えるだろう。下の方だけだが。

「そういえばあなたには名乗ってなかったわね。一応知っているでしょうけど。黒川アカネよ。これから彼を取り合うことになるみたいだからアカネで良いわよろしく。」

 またハニーの武士道精神勃発だ、毎回これをするのだろうか。

「知ってるよ流石にね。私はカレン、立花カレン。私もそれじゃあカレンって呼び捨てで良いよ。」

 律儀にそして可愛く返した。返しが可愛いかよ。ずるいぞホントに。

「私は白山アオイ。私も下の名前で良い。」

 ジンは少し無愛想に返す。まあジンに愛嬌は求めていないし出てはこないだろうなんせずっと無表情な奴だし笑った所を数えるくらしか見ていないしな。こんだけ長いこと居て。

「じゃ俺は天月マオ。マーでもマオでも呼び捨てでも君付けでもどれでも良いよ。」

 俺は少しテンション高めに挨拶した。自己紹介は大事だというし、これから爺になるまで一緒に居てもらいたいからな。

「なら私はマオ君と呼ぶわね。アオイと被らないように君を付けることにするわ。」

「ならーんー、私はマー君にしようかな。そっちのが可愛いしそれに恋人っぽいしね。」

 それぞれが別の呼び方にするらしい。そこはかぶりたくないのか。分からないな女心は、難しすぎる。それにしてもさっきからわざとなのかボンの胸が俺の腕に当たっている。俺の肩に顔を近づけてタブレットの画面を見ているから、首に彼女の息と温もりを感じる。それに凄い良い匂いもする。

「エッチなのは反映されないのかー。残念。」

 え、もしかしてわざとこんなことをしているのか。なんと恐ろしい。しかしエッチなことは反映されない、なぜなら今のモードは家族モードだからだ。恋愛モードにするとエッチな気持ちを抱いたら反映される。

「性欲は好感とは違うらしい。少なくともこの機会はそう認識しているみたい。どうやって好感が上がるのかは分からない。それはマオしだいでもエッチなのも反映させようとしたら出来る。」

 ジンが説明をしてくれた。ナイス俺はイマイチこの機械を理解していないし。てかいらんことを教えないで、こう見えても俺は硬派な男だぞ。女とべた付く気はあんまりない。

「へーならさ、それも入れようよ。女の魅力じゃん。」

「別に私はどっちでもいいわよ。あるなら利用するしないならないでほかの所で勝負するわ。」

 おお、かなり男前なことを言うな。ならそんなに言うなら付けよかな。モード設定で家族から恋愛に切り替える、これでこれからエッチな気分になったら気持ちが向いている相手に好感が反映される。しかしかなりポイント率は下げよう。一割くらいに。

「これで反映されたけどそれだけでポイント稼がれたら面白くもないし一割くらいにしといたよ。」

 まあこれで普通に競い合うだろう。体を売るようなことは良くないしね。と思ったそばから胸を当ててきた人が一名、はぁボンは何を考えているんだ。

「ふーん、これくらいだと三ポイントかそれにもう上がんないし次はいつ上がるのかな。」

 好奇心が高いのか負けたくないからなのかかなり一所懸命にシステムを俺でテストしている。別に俺で試さなくてもジンに聞けば大体の答えは返ってくるだろう。

「一回の感情につき一回までだから、新しい行動に対する感情なら同一のモノでも良いけど多分もう何時間マオにそのまま引っ付いていても変わんないはず」

 ホントになんでジンはそんなに詳しんだよ。俺でも知らないことよく知っているな。てかハニーがさっきから黙っているけどどうしたんだろう。ハニーの方を見るとなんかの分厚い本を見ていた、なんな本だろう。あんなのうちにあったっけ。俺は買った覚えがない。親のか。

「ルールがここに書いているわよ、前半はこれの作りとか、かなり難しいことは飛ばしたけど後ろの方に説明、ルールの様なものが乗っていたわ。」

 そう言いボン本を渡すハニーもしかしてもう読んだのだろうか。それだとかなり速読だな。あんなに分厚いのに、多分辞書くらいはあるぞ。俺は到底読む気にはならないな。

「そうだね。じゃあこれ読んでおこー。ね、この本さ。家に持って帰っても良いかな。」

 まあここで読んでしまってとは言えない分量だろうから快く承諾する。するとやったーと俺の背中に飛びついてきた。背中に柔らかいものが当たるのを感じる。ああ幸せだ。

「あ、また増えた。やったね。」

「はしたないわよ。」

 ボンは俺にギューっとコアラの赤ちゃんかよと言うくらい強く背中に抱き着いてきた。それを見たハニーは呆れたようにボンに忠告しながら頭を抱えた。するとジンが俺に抱き着いてきたしかもフロント部分に、流石に可愛い女の子に抱きしめられたら思春期の男は反応するだろう。しない方が異常だ。だから後ろで助かっていた、のにジンは何を考えているのだ。

「私は気にしないから大丈夫。」

 俺の顔を上目づかいで見つめながら言い放つその言葉に、ジンは良くても俺は良くないんだよな。

「アオイも三ポイント増えたわよ。」

 俺が驚いて落としたタブレットを拾い上げてこいつらマジかという目を向けながら教えてくれた。つまりこれでボンが六、ジンが三、ハニーがない状態ということだ。俺がどうしていいか分からなくて呆けていると、ハニーが扉の前まで移動した

「私の手料理食べたいんでしょう、遊んでないで早く来なさい。腕によりをかけてあげるわ。」

 制服の上着を脱ぎ、袖を綺麗に折りながら上げていく。うん可愛い。それにとてもきれいだ絵になる。彼女がタブレットを見て微笑んだと思ったらすぐに振り返り部屋を出ていく。

 リビングに戻って彼女達は自分の料理に自信があるのか、全員で手料理を作るという。ああ食べ比べか。かなり神経を使うぞこれは。というかタブレットでちくいち状況確認ができたら誰が今トップかが分かってしまうな、それでは面白くない。んーどうしたものか。それにアプローチが相手を邪魔しなければ自由にしたが、日にちが被ったらどうするか。曜日を決めてやるか。でも皆と俺は毎日会いたいし。ジンはないけど他の二人は部活だってやっているかも知れない。どうしたものか。

「できたわよ。」

「私もできたよ。」

「私も。」

 三人の声で考えるのを止めご飯を食べることにする。ハニーは肉じゃがを作ったらしい、かなり庶民的なものだ。ボンはなんとよくわからないコジャレタ魚料理かな。黄色い半透明なスープの中に白身魚が入ったなんて言うか分からないやつだ。ジンはお粥よく俺が食べたいのか分かったな、しかもハンバーグ付きだ。


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