勇者装備を眺める男女
そんな誇り高い勇者装備は魔王の居城に近い王国の展示室に全て安置されている。
これだと盗まれそうなものだが、盗もうとしたものは装備自体に宿っている意思?によって、相応の罰が下るらしい。
命までは取られないものの、魔力を奪われ、数日は体の自由が効かなかったらしい。
そのことは正式に公表されて、以後、盗みにくるものは少なくなると同時に我こそは勇者の後継者として、装備チャレンジと申した挑みが行われることとなった。
その挑戦者は100人を超え、いまだに挑戦は続けられている。
人々の予想としては勇者と同じ容貌、金髪、碧眼の細身の青年が装備に選ばれるだろうと日夜、かけが続いている。
そんな装備の展示室を部屋の端から見ている1組の男女がいた。
「で、感想は?」
「・・・違和感が強すぎる。」
男の容姿は黒髪、紅眼で細いけれどもかなり筋肉がついている青年。
女の容姿は白髪、金眼で細身で凹凸が少ない体つきの少女。
女が男に対し、展示室の様子を尋ね、男は苦笑しながら答えている・
「やっぱり、あれって偽物?」
「ううん・・・。どうだろうなあ?
ここからでもなんか引っ張られる感覚があるんだよな。」
「じゃあ、加工されたとか?」
「あれを加工しようとしたら、常人には無理だろうからな。
だとしたら・・・。」
勇者の装備の前で明らかにヤバめの話をしている男女。
これを勇者を尊敬しているものが聞いたら、喧嘩に発展しそうだ。
幸い、彼らのそばには誰もいない。
不自然なほどに・・・。
「で、どうするの?
勇者様?」
「そうだね・・・。」
勇者様と呼ばれた黒髪の青年は過去のことを振り返りながら、考え始めたのだった。
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