不適切にも程がある

不適切にも程がある

学校の昼休み、教室で2人の男子AとBによる会話が繰り広げられていた。

A「ふてほど」

B「は？」

A「ほら、なんか流行語大賞になってた言葉だよ」

B「流行語大賞？いや、でも『ふてほど』なんて言葉聞いた事ないが？なんかの間違いだろ？」

A「ところがどっこい、ふてほどが流行語大賞なんすわ」

B「はぁ、ところで『ふてほど』ってなんなん？」

A「知らん」

B「え、お前も知らねぇの？」

A「知らんよ。いや、でも語呂は良いと思う」

B「あ、それは分かる。なんか、ふてほど…ふてほどなぁ…ふてほど」

A「あ、あれだろ！特に意味ないパターン。ネットの『草』とか『笑』とか『まじ卍』ってあれ、意味なく使うやつ！それと同類っぽい」

B「んん？いや、流石にそんなことはないだろ。意味ない言葉が流行語大賞に選ばれるとかオフザケが過ぎるし不適切にも程があると思うんだよなぁ」

A「まぁ、そうか。ネット掲示板のオフザケとは違うもんな」

B「……太（ふて）ぇけどほどよい」

A「え、……太ぇけどほどよいを略して『ふてほど』ってｺﾄｯ！？いや、なんかそれ……え、下ネタ？」

B「……」

A「まぁ、うん。でも確かになんかの略語っぽくはある」

B「だろ？だから……太ぇけどほどよい」

A「いやない。それは無い」

B「じゃあなんだよ、お前はなんか思いつくのかよ」

A「ふてほど……不貞行為補導（ふていこういほどう）」

B「まぁ、不貞行為…最近よく聞くけどな。ちょっと前も有名な芸能人が不貞行為で裁判に発展とかあったし……でも、流行語大賞ってほどでもなくないか」

A「まぁ確かに……じゃああれ！不適切報道（ふてきせつほうどう）。明らかに悪意のある切り取りした不適切報道もよく話題になってるし」

B「いや、その場合は不適切報道ってか……偏向報道（へんこうほうどう）じゃね？」

A「ふてほど……なんか難しいな」

B「『不貞寝する程のことじゃない』とか、どうだ？可愛い感じだし……JKとかが略語で使いそうだろ」

A「あー確かに。なんか、いいね！」

B「まぁ、それでも聞いた事ない時点で流行語大賞としてどうなんだ、って話だけどな」

A「それはそう。それこそ不適切にも程がある！って話」

B「まぁ、流行語なんてほとんど若者が使うようなモンなのにそれを大人が決めるってのがまずおかしいんだわ……」

A「マジでそう。ジェネレーションギャップってやつ」

B「……でも結局俺達も歳とったら今の大人達と変わんない人間になるんだろうな」

A「うわぁ考えたくない。……てか、なんでこんな将来の不安を考える暗い話に……学校でする話じゃない！誰だよこんな話始めたやつ」

B「お前だバカ」

A「で、結局『ふてほど』って何？」

B「話戻すのかよ……あれだろ、太ぇけどほどよい」

終わり