聖教皇の指摘

 その夜。

 再び召集された会議での聖教皇フォアスピネの発言は、アルフェリムにさらなる衝撃をもたらした。


「揃いも揃ってピーチクパーチクやかましい。王国は滅びる。私の言葉は真実である。第二王子、お前は知っているな?」

 いきなり話題の中央に放り投げられたアルフェリムに、いきりたっていた神殿関係者たちが食らいつく。

「第二王子殿下! 何か聞いていらっしゃるのですか!?」

「え、いや……」

 詰め寄られたところで、神託の内容に関して、アルフェリムが知ることは何一つない。

 知っているのは――。


「お前には分かるはずだ、私の言葉に嘘偽りはないと。そうだろう、『真実の瞳』を持って生まれた祝福の子よ」


 聖教皇フォアスピネの発言に、場の空気が凍り付いた。

 アルフェリムは、顔を背けた。

 兄のオライアスがどのような表情をしているのか、直視する自信がなかった。

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