第20話 溢れ出る不満

その夜、リビングですばるに話しかけられたが、あゆみはそっけない態度をとってしまった。


「大丈夫?最近疲れてるみたいだけど……。」


その優しい言葉に、彼女の中に抑え込んでいた感情が爆発した。


「大丈夫なわけないでしょ!」


その声に驚いて立ち尽くすすばるを前に、あゆみは止まらなくなった。


「そもそも、私、子どもなんて好きじゃないの! ただでさえ慣れてないのに、急に二人の面倒を見なきゃいけないなんて無理だよ!」


その言葉が口から出た瞬間、すばるの表情が少し曇ったのが分かった。でも、彼女は止められなかった。


「私、自分の時間もほとんどない。子どもたちと一緒にいるのは楽しい時もあるけど、正直疲れるの。全部犠牲にして、なんで私がこんな生活しなきゃいけないの?」


すばるは言葉を探しているようだったが、あゆみはさらに続けた。


「私は……すばるさんとだけ一緒にいたかった。子どもたちがいる生活がこんなに大変だなんて思わなかった。」


その言葉に、すばるは静かに彼女を見つめた。


「……ごめん。僕が気づけなかった。」


その一言が、逆にあゆみの心を苦しめた。

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