第5話 永遠を望む恋。
それから数日後、少しずつ近くなる夏美との距離は本当の恋愛であった。
その日、私と夏美は昼休みの時間に中庭の大きなもみの木の下にあるベンチに座っていた。
初夏を思わせる風が流れて、校舎からの生徒のざわつきが印象的であった。もみの木から差す木漏れ日は私達を特別な空間に居る気持ちにさせた。
隣に座る夏美との距離は限りなく近く、自然と手が結ばれていた。
これが恋の幸せなのと思う。
うん?
夏美からすうすうと吐息が聞こえてくる。サッカーで挫折してから不眠の症状があるらしい。普段の疲れが出たのか夏美は私の隣で眠るのであった。
しかし、手のひらは結ばれていて夏美の鼓動と温もりを感じる。
本当に、このまま時間が止まる事を願った。
私は午後の授業ギリギリまで大きなもみの木の下で永遠の愛を誓うのであった。
そして、午後の授業を知らせるチャイムが鳴ると。
「は!行かねば……」
夏美は目を覚ますと立ち上がる。さっきまで隣に座っていたのに、この寂しさ……。
『私は永遠が欲しい』
私はスマホの日記帳に離れてしまった手のひらを使い書き込む。
「どうしたの、美鈴?」
「ちょっとね……」
「早くしないと授業が始まってしまうよ」
「うん」
私達は四階にあるクラスに向かう。
これも愛のカタチである。例え女子同士でも本当の恋愛である事を確認するエピソードであった。
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