第3話 彼女は感じている。
入学式が終わり一年生はクラスに別れて行動が始まった。偶然ではあったが夏美と同じクラスになった。
本来なら父親の元からこの佐倉ヶ島高校に通う予定であったが、同じ市内に住む、お春さんの住む団地から通う事になったのだ。
ここまで偶然が起こるのはやはり夏美に出会えたのは運命を感じる。
「夏美、部活は何にするの?」
そう、この高校にも女子サッカー部は無い。この少子化の時代だ、女子サッカーなら11人居ても紅白戦すら出来ない。
どうしても高校によって偏りがあるのだ。
「私は華道部に入ろうかな……」
「女子高生ならもっと派手な部活に入ろうよ」
それは、華道部は事実上の帰宅部だからだ。
「パス、帰宅部でいいよ」
「クラブチームが無くなったのがこの高校に決まった後でも何処かでサッカーが出来るはずだよ」
……。
黙り込む、夏美に私は最大限の励ましの言葉を探していた。
「答えが見つからないなら、制服のスカートを上げてよ」
あれ?いつの間にか本能のままの言葉になったぞ。
「うん……」
夏美は恥ずかしそうに頷くとスカートを両手で持ち上げる。
目線が泳いでいる。これはかなり感じているな。
教室の中には生徒がガヤガヤしている。これは少し可哀そうだ。
私は口元を夏美の耳に近づけてふ~とする。
「お楽しみはまた今度で……」
私は更に耳元で囁くと私は夏美から離れる。自分でも驚きの行動だ。恋愛などしたことが無いだからだ。
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