さらば、焼きそば

タカハシU太

愛と哀しみの焼きそば

「焼いていないのに焼きそば~、焼いていないのに焼きそば~~~」

 今、私は口ずさみながら、カップ焼きそばの外装フィルムを剥がし、フタを開封していた。

「あああっっっ、間違えた!」

 付属の液体ソースを、お湯を注ぐ前に入れてしまったのだ。

 だが、うろたえることはない。市販の中濃ソースのボトルを冷蔵庫から取り出した。これで無事解決。

 お湯を注いで、待つこと三分。いや、お腹を満たすには、もっと水分を含ませたほうがいい。五分が過ぎて、ついに我慢できなくなり、流し台で湯を切った。

「あああっっっ、間違えた!」

 湯切り口ではなく、開け口から湯を捨ててしまったのだ。

 焼きそばも一緒に流れ出ていき、排水溝の中に消えていった。


                 (了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

さらば、焼きそば タカハシU太 @toiletman10

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説