第9話

 逃げるが勝ち!


足がすくんガクガクしてるけど、膝から崩れそうだけど逃げなきゃ。


 エレベーターの扉が開いたので私は震えながら飛び出し、自分の角部屋に一目散に走りこむと後ろから矢が飛んできた。


ぷしゅっ……って


そう、ぷしゅって矢が飛んできて、振り返るとその落ち武者っぽい人は、ニヤリと笑って矢をまた私に打ってきた。

 ぼう然としていると二本目の矢が飛び、私の左頬をかすって血が流れる。

「痛っ!」反射的に声が出た。


 なんで?なんで?だってオバケだよ。オバケなのになんで武器はまともなの?なんで矢が飛ぶの?なんで痛いの?


 オバケだけれど、武器はまともなんだ。ちょっとそれって卑怯じゃない?

 血の気が一気に引いてきた。

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