第5話


 引越し日和です。


3月終わりという、少しずつ春が近寄ってきた季節。青い空が広がり、雲ひとつない、とっても良いお天気です。


 最低限の荷物を持ってこっそりとお引越し。

 友人にも言わず格安の引っ越し業者をさらに値切り、嫌な顔をさりげなくされながらの、平日のお引っ越し。

 悲しく淋しい状況だから仕方ないお引っ越し。

 あぁ色々と思い出すと泣けてくる。金返せ!いやダメだ……前に進もう。いいこともあった。


 そう!

 不動産屋さんに紹介されたアパートは、オートロックではなく築15年物件だけど、駅から10分で近くに昔ながらのスーパーがある、5階建てのアパートだった。


「ここの2階の一番奥の角部屋なのですが……」


 角部屋最高です。2DKの南向きのお部屋はお日さま当たるし小さなベランダまである。部屋もそんなに古さを感じることなく小綺麗だ。これで家賃が驚くなかれの32000円!

ジャパネットさんもビックリ価格!桁がひとつ間違っている気がして、再度聞いてみたけれど


「32000円で間違いありません」

 不動産屋のお兄さんは笑顔まぶしく言い切った。後光がさしている。神様ありがとう!

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