第4話 ギャル、スライムタピオカを食す。
村を出たアベカナとオタクは、オーちゃんの案内に添って鬱蒼としたジャングルを歩いていた。
オーちゃんはオタクが遭難する前の街道に出てから、オタクの学校がある街へと戻るための案内役だ。
アベカナも「街とか絶対テーマパークみたいで映えるっしょ」と言ってついてくる事になった。
アベカナはオーク達と楽しそうに踊っている動画を見て満足げに歩きスマホしている。
歩きスマホで死んだのに、そのクセは直っていない。
「これバズるわ。色んな種族達と一緒に、色んな映えるトコでJKが踊ってる動画、めちゃ世界平和って感じだし」
「ブヒ、あっしにゃよくわかりやせんが、アネゴが楽しそうでなによりでさぁ」
「早速SNSに投稿したんだけどサ、な~んかまだバグってんのかしんないけど、みんなの動画が出てこないんだよね。誰も見れないなら、いいねもつきようがないよネ~」
困り顔でそんな事を言う彼女のフォロワーは56という数字を示している。ここに来た時は0だったので、いつの間にか増えているが、アベカナ自身は気付いていない。
「あのう……それがどういう意味なのか、勉強させて頂いてもよいでしょうか?アベカナ様が頻繁に見ていらっしゃるその板、まるで大司教の聖典に匹敵するオーラを感じるのです。まるで人類の叡智が詰まった結晶の様な……」
オタクが敬意を払いながら、アベカナに問う。
「フォロワーだよ、あたしの事見てる人の数っていうか~。てかオタクくんそんな事も知らないの?」
「フォロワー……信徒の様なものなのでしょうか……?それならば理解出来ますが……」
「映える事あったらみんなにシェアハピするっしょ?」
「わかりやすぜ、あっしもガキの頃は部下どもに自慢するために狩った獣の首を持ち帰ったり、石盤に絵とか文字を描いて遊んでたりしました」
オーちゃんはアベカナとIQが近いため、言っている事が感覚的に理解できるのだろう。
「それな」
「な、成程……文通や念写の様なもので、友人と情報交換しているのですね。どんな活動報告も欠かさないなんて、信心深いと言いますか、敬服します!」
オタクは自分なりの解釈でアベカナの言っている事を理解した。
「てかさ~、喉乾いたワ」
「水なら浄化魔法で清めたこちらの水筒がございますが……」
アベカナはオタクが差し出した飲みかけの水筒を奪い取り、ごくごくと飲んだ。
「あ、それ、ボクの水筒です……」
「は?オタクくんそんな事気にしてんの?きも……」
ギャルはのどうでもいいオタクとの間接キスなどいちいち気にしない。
「あ~、どっかに自販機とかないの?それかタピオカ屋とかさ~」
「たぴおか……とは?」
「なんかミルクの紅茶にプルプルした粒みたいなんが入ってるんだよ、知らない?」
「存じ上げません……」
「スライムみたいなもんでしょうか?それならどこにでも生息してやすが……」
「へ~、スライムって食えんの?」
「食用もあるにはありますが、専門の調理師がちゃんと下処理しないと食中毒にかかってしまいますから、意外と高級だと言いますよ」
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異世界ギャルの無自覚無双~チートスキル「ギャル語」と「スマホ」でいいね稼ぎしてたらいつの間にか世界救ってました~ ラムいぬ @aldehyde
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