第3話 新しい朝、そして。

「海紗お嬢様!起きてください!」───


ハッとして目を覚ますと、そこは住み慣れた家、久堂の屋敷だった。


「私、死んだのではなかったの…?」

「お嬢様?、何を仰っているのですか。そんな時間なんてありませんよ、学校の支度をしなくては!」


どうやら、私は昔に戻ってしまったみたいだ。(うそだろ…そんな。)

けれど、戻ってしまったのなら仕方ない、いつもどうりにしなくては。…そう思ったのもつかの間だった。


身支度を整えるために鏡台の前に座ると、そこに映る自分は、あの頃の私ではなかった。長くツヤのある薄茶の髪、宝石のように煌めく淡いピンクの瞳。

(こ、これは…私か?信じられない)

そう、久堂家特有の髪と瞳が見に宿っていたのだ。

ならば、もしかしたら今までとは違う人生を生きられるかもしれない。両親は私を見てなんと言うだろう…。


「さあさあ、海紗お嬢様、支度ができましたのでお食事に行きましょう。旦那様たちがお待ちです。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る