第4話
玲はそんな女に一瞥くれることもなく、ベッドから降りるとすぐさまシャワールームへと消えた。
女は肩を弾ませ、玲の後ろ姿をただ眺めていた。
均整の取れた美しい身体に、美し過ぎる顔。
女は唾を飲み“欲しい”と強く願った。
だがそこで女は慌てて首を振った。
それは決して言ってはならない言葉。
それを言ってしまえば、二度と近付く事は許されないからだ。
噂……。
女はモデルの仕事を生業(なりわい)としていて、若い世代ではカリスマ的存在で名の知れたモデルだった。
そこで聞いた噂が“西園寺 玲”という男の事だ。
恋情さえ絡まなければ、玲が気に入れば抱いて貰える。
それと、10代の女は相手にもしないという事。
そして自分の名前は決して玲には教えてはならない事。
女はその噂……“玲に抱かれる為の条件”を頭に思い起こさせ、長い息を吐いた。
「10代の女を相手にしないのは流石ね……。本当……彼は自分を良く分かってるわ……」
玲とは10歳程離れた自分でさえ、玲に心を奪われるのだから……。
女は自嘲するように声を押し殺して笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます