第3話

この上なく豪華絢爛な部屋。

 天井には目眩いほどのシャンデリア。

 だが今は点(とも)される事もなく、暗く広すぎる部屋には女の矯声とベッドの軋む音だけが響く。


「あぁ……ぁ……いい……」


 女の爪が玲の背中に食い込む。

 口元はだらしなく弛み、絶える事なく零れる艶めかしい声。

 自分の下で喘ぐそんな女の声や表情を見ても、玲は一切何も感じなかった。


 愛おしい……など愛情なる類いの感情は一切。

 玲にとって女を抱くのは、ただの性欲の処理に過ぎないからだ。

 そんな玲の動きに合わせ軋むベッドと跳ねる女の身体。


 女は玲の腰に足を絡ませ、より深く誘い込んでくる。

 もう何度目かの絶頂を迎えた女の身体は、僅かに痙攣し始めた。


「あぁ……もう……イク……玲もいっしょにぃ……」


 絶頂とともに女の身体の痙攣は増した。


──果てた女は、もう動けないと降参するように、玲に背中を向け荒い息を吐いていた。

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