第5話
なんの変哲もないし、ただ田舎より大きめの普通の学校ってだけ。
普通……
「ん? ……っ!?」
突如と視界に入ったモノにパニックになりながら、通り過ぎた“モノ”を見ようと靴を脱ぐのも忘れ、慌てて座席に体を乗り上げた。
「え?」
ちょっと……ていうか、やっぱり見間違いなんかじゃない。しかも学校の塀に。
それは、圧倒的な存在感を知らしめるように、堂々と書かれた文字。
『龍虎』
たかが文字なのに、文字に威嚇されている気分。
後部座席であたふたしてる私に、突如と噴き出す父。
「アハハハハっおまっ……やめっ顔……クク」
「……」
何で笑ってるのか分からず、一層テンパる私の顔が相当可笑しいのか、ルームミラーで目が合うたび、ヒーヒー言ってる。
ムカつく。いや、一瞬殺意すら覚えたんだけど。
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