第3話
その言葉に安堵の息をついて、車窓から流れる都会の景色をぼんやりと眺めた。
車に乗って約3時間半。私達家族3人は、今日12年間住んできた田舎の町から別れを告げてきた。
これから私達の新しく住む街は、どうやら両親の思い出の詰まった、愛する故郷なのだそうだ。
元々、私が3歳の時まで住んでいたらしいが、もちろん私に記憶はない。
その愛する故郷を離れる事になったのは、同居していた母方の祖母が、田舎でゆっくり暮らしいたいという、その希望を叶えてあげるために引っ越しをしたようだ。
祖母は、学生の頃に留学でこの街に来たアメリカ人で、とても綺麗な人だった。母がまだ小学生の時に祖父が亡くなった為、異国の地で女手一つで母を育ててきた。大変な苦労もあった筈なのに、そんな事など微塵も感じさせないとても気丈で逞しい人だった。
でも……その祖母は2年前に癌で他界した。
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