再会! 同級生諸君
なにが、上手くいくのかわからないが、美園の不安を少しでも、やわらげたい翔太である。
しかし、どうにもこうにも、どう声をかけてやればいいのかわからない。
すると、ふたりに、見知った顔が声を掛けてきた。
「只野氏、美園嬢ではござらんか!」
「お? 小田じゃん」
「やっぱり、みんなも、この高校だったんだね」
「もう、中央、一択だったでござるよ」
「そうそう」
「3人でパーティー組もうと決めていたので」
「しかし、只野氏が探索者志望とは知らなかったでござる」
太って黒縁眼鏡をかけた小田。
体が細く、ボサボサの髪の毛が目を隠してしまっている平田。
ごつい筋肉ダルマのような角刈りの大塚。
この3人は中学校のときの翔太と美園の同級生だ。
いつも教室のすみっこで3人集まって、ゲームやネット小説の話題で盛り上がっていた。
この学園に来るのは、3人にとっては、もはや代価案なき決定事項だったようだ。
平田がふたりにたずねる。
「ふたりは、何のスキルをゲットしたの?」
「や、俺は、これからだから」
「うん、そう、これから」
「おお、期待と不安、我にありでござるな」
すると、翔太たちに、会場のむこうから、生徒が声を掛けてくる。
顔がイケメン。身長がイケメン。歩みがイケメン。
広い会場に散らばっていた女子生徒たちが思わず道をあけて、彼にキラキラの視線を向ける。
「なんだい、見慣れた顔がいるじゃないか? ふふふ」
「げ、早乙女」
「おお、早乙女殿」
「あ、早乙女くん」
「やあ、おはよう、綾香くん」
「うん、おはよう」
「ひさしぶりだね、卒業式いらいだったかな」
名前で呼ぶな、名前で。しかし、なんの違和感もなく、女の子の名前を呼べるのは、どうしてだ?
翔太は、先ほどまでの、ふわふわ気分が雲散霧消する。
「お前も、このガッコだったのか」
「なんだい、予想外かい? ふふふ、将来性があり転職にも有利とくれば、選ばないという選択肢もないだろう?」
「なんか計算高いな。探索者は、スキルが大切なんだぞ? 将来性うんぬんのまえに……」
「ふふふ、ほら。僕のスキルだ」
「げ」
胸ポケットにさしてあるユビキタス紙を、翔太たちにかざして、早乙女がホロフォントを立ち上げる。
翔太たちの視界に、早乙女のステータスが飛びこんできた。
小田が、思わず声をあげる。
「うおお、スゴイ、勇者ジョブでござるか! 万能ジョブでござるよ、さすがは早乙女殿!」
早乙女亮一(性別:男)
ジョブ:[勇者]
レベル:1
HP:125/125
MP:80/80
STR:65
INT:70
DEF:54
DEX:50
SPD:60
LUK:45
スキル:
[光魔法]
[剣戟補助]
[光輪虚空斬]
[神光射突撃]
翔太は低くうめくと、ジト目で早乙女のホロフォントに見入る。
「早乙女くん、すごい」
「な、なんか物騒なスキルが並んでるな……なになに? 光輪虚空斬? ……神光射突撃?」
「なんか強力そうだねぇ」
「多分、光属性の攻撃スキルでござろう。これはスゴイですな」
早乙女が自慢げに髪を払ってたずねる。些細なしぐさがイケメンである。
「君たちはどうだったんだい? 優秀なスキルは取れたのかい?」
「自分はローセイントだったでござる」
「回復系と剣士系のいいとこどりか。ふむ、でも成長するのに……」
「そうでござるな。ハイセイントになるまで結構な経験値が必要とのこと。平田氏と大塚氏も似たようなジョブだったでござる」
平田が自身のほおを、ぽりぽり、かきながら受け答える。
「僕のジョブは忍者だったよ。日本人には多いんだって。スカウトとアサシンのハイブリッドだね。僕は体も小さいし、こーゆーの向いてるかもね?」
それを受けて大塚が腕組みをして続ける。
「自分はマギシャーマンでした。探索者は体が資本とトレーニングを続けてきたのですが、自分に発現したのは、なぜか魔法使い系のスキルでした。呪術師と魔法使いのスキルが使えるのですが、いやぁ、覚えることが多そうですなぁ」
「ふーん、3人でパーティーを組むのかい?」
「で、ござるな」
「結構バランスのいいチームになりそうじゃないか?」
「大器晩成を目指してがんばるよ」
「で、君は?」
早乙女に話をふられて、翔太はくぐもった受け答えしかできない。
というか、学園志望の真の動機的に早乙女にはいろいろな面で負けたくないのである。
「む、お、俺は、これからだって」
「早乙女くんが光魔法で、小田くんがセイントということは、ふたりとも、ヒールが使えるんだね……」
スキル検査を直前に控えて、不安になる美園に、翔太が、無理矢理、話題をかえる。
「あー、てか、あのスキルライトっての体に悪いんじゃねーの?みんな、体が光ったりしてるんだけど?大丈夫なのか?」
「強力なスキルを発現すると光が強くなるそうでござる。スキルというのは、もともと、人類すべての人に発現しているものであって、あれは、ただ単に、すでに発現しているスキルを、自分で確認して、使いやすくするためのものだそうです。自分がどんなスキルを持っているか判らねば、使いようもないでござるからな。だから、人体には無害でござろう。たぶん」
「うーむ、物知りだなぁ……」
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