第二回 杉村幻想短編文学賞 結果発表

第二回杉村幻想短編文学賞 結果発表

第二回　杉村幻想短編文学賞はこちら

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総評

今回も皆さんの幻想を拝読いたしました。まずは応募して下さり誠にありがとうございました。総評ですが、前回と比べて豊かな表現をしてくださる方は、あまり多くはなかったかな。という印象でした。その代わり少ないながらも凄いのが出てきたなという作品もあり、応募していただいたことに誠に感謝いたします。私的には、動と静どちらかに振り切っているかがわかる作品も多く、良い読書体験でした。さて、今回からクトゥルフ神話幻想賞ができたのですが、こちらに応募いただいた方々はクトゥルー・クトゥルフと冠してはいるものの、これは通常の選考の方でもいいのではないかと、はっきりとクトゥルフ神話だ。という作品があまりなかったのが少し気になりました。通常選考であれば確実に選に入った作品も何編かありました。それと、募集要項から外れている作品も中にはあり、そこがとても残念でした。 

さてそれでは選評です。 

入選（３編）

大河の流るる密林にて／守宮 靄

密林に入る出だしから、描写が丁寧に描かれており、五感を刺激するような文章力と幻想的雰囲気を醸し出す作品だと思いました。百足あたりからの「生命」の陰鬱さと「虎」の溢れ出す強さ、そこに登場する「乙女」との幻想的調和が、まさに混ざり合うかのように作品を包んでいる。素晴らしい作品でした。 

ある女の幻想／紫陽_凛

全てを自分の感覚にゆだねたかのようにも感じる。著者の感性が光る作品。自分とは何なんだろう、そんな言葉が聞こえてきそうな感じもしました。どんどん物語が「傾き」、「女」とは何なのかを考える時間は増えるが、答えを求めるのは無粋だろう……。 

或る双子にまつわる決斗／理霊・Fletcher

最初の感想は「おお、凄い！個性的な作品だ！いいな～！」と。内側からだけではなく外側からも読者に語り掛けてくるような作品でした。UFO……UFO！　アブダクション？　私の頭がぐるぐる回りました。双子娘？バトル展開？一瞬よぎる「少し匂わせるかぐや姫的な展開？」著者の世界観は想像を超える。面白い読書経験をありがとうございました。  

クトゥルフ神話幻想賞（１編）

水底小提琴／sim

おお、幻想的なクトルゥフ神話だ……面白いな～と思いました。今回のクトルゥフ幻想賞です。おめでとうございます。黒いバイオリン、タイタニック、妙なる音楽、そして黒木君。著者の作り出す作品は困ってしまいますね。意図している部分が不明瞭、しかしそれがまた深淵を覗き見るような感じがして心揺さぶられます。最後の言葉で全てがまとまるんですが……「いままでの」考えていることを全て諦めてしまうような感覚が「神話らしく」。とても心地よかった作品です。

選外佳作（６編）

精霊の子鬼と涙の月／うららぎ

幻馴染／ぬりや是々

月の扉が開いたとき／白雪花房

王様の処刑法／古木しき

都市の亡骸／風見カオル

靴の裏／黒猫の旅人

皆さまこの度は誠にありがとうございました。そして、おめでとうございます。

注意：あくまで杉村修の自主企画です。