第41話 これで終わりだ!
「こいつ、これまでの奴とは次元が違う……!」
だけど、逃げるだけでは勝てないのも分かっている。僕は攻撃の合間を狙い、一気に間合いを詰める。拳を握りしめ、全身の力を込めて振り下ろした。
「これでどうだ!」
拳が怪物の外殻に当たる。だが、響いてくるのは鈍い衝撃だけ。僕の攻撃は怪物の表面を傷つけるどころか、押し返されるような感覚だった。
「なんて硬さだよ……!」
怪物は僕の攻撃に動じることなく、すぐさま反撃に出る。巨大な腕を振り下ろし、その勢いで地面にひびが走る。その隙に僕は再び後方に飛び退き、怪物との距離を取った。
「やっぱり正面からじゃダメか……。」
額に汗が滲む。これまでの戦い方では通用しない。もっと強力な一撃を叩き込む方法を見つけなければならない。
その時、ペンダントが強く震えた。視界の端に一瞬だけ光の線が浮かび上がる。それが何を意味しているのか、直感的に理解できた。
「……なるほど、そういうことか。」
拳に力を込める。ペンダントが導く光を信じ、全身の力を拳に集めていく。目の前の怪物が再び攻撃を仕掛けようとする中、僕は一気に踏み込んだ。
「これで決める!」
次の一撃が勝負だと確信しながら、全力で拳を振り抜いた。その瞬間、拳に込めた力が新たな光を放ち始めた。
拳に宿る光が眩しく輝き、怪物の視線が一瞬揺らいだ。その一瞬の隙を見逃さず、僕は怪物の胸部に狙いを定めて拳を叩き込んだ。
「どうだ!」
拳が怪物の外殻に衝突する瞬間、衝撃波が周囲に広がる。これまでの攻撃とは明らかに違う感触が手に伝わった。怪物が大きくよろめき、低い唸り声を上げながら後退する。
「効いてる……!」
確かな手応えに胸が高鳴る。怪物の動きが鈍ったその隙を突いて、さらに追撃を加えようと前に出た。しかし、怪物も黙ってやられるつもりはないらしく、巨大な腕を振り上げて反撃に出る。
「まだだ……!」
僕はギリギリのタイミングで怪物の攻撃を避け、側面へ回り込む。そして、全身の力を再び拳に込めた。ペンダントが微かに震え、さらに強い光を放つ。
「これで終わりだ!」
渾身の一撃が怪物の背中に直撃する。拳が触れた瞬間、怪物の体が激しく揺れ、黒い霧が一気に噴き出すように消えていった。怪物は断末魔のような音を上げながら、その場で崩れ落ちる。
辺りに静寂が戻り、僕は息を整えるために拳を下ろした。ペンダントの光が収まり、震えも止む。
「……やった。」
これまで以上に強大な怪物だったけど、倒せた。自分にもこれだけの力があるんだと、初めて実感できた瞬間だった。
「でも……これで終わりじゃないんだよな。」
怪物がどこから来るのか、なぜ人々の感情に影響を与えるのか。それを解明しなければ、いつまでも戦いは続く。僕は改めてペンダントを握りしめ、心の中で決意を新たにした。
「もう迷わない。僕にできることを全部やるだけだ。」
静かな夜空の下、家族や友人のことを思い浮かべながら、僕は家へと向かって歩き出した。
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TS魔法少女、拳ひとつで怪物を倒して街を守る。秘密を抱えながらも仲間に認められ、家族や友人からも慕われる〜僕が魔法少女になった理由(わけ)〜 ☆ほしい @patvessel
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